黒子のバスケ

□名前は?
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初めて会った時
最初に惹かれたのは
そいつの髪色だった。

新緑のように艶めき
鮮やかさの中に深みを感じた。

「よっ。お前名前は?」

高い身長に
整って付いた筋肉。
左手の指先に巻かれたテーピングは
一体どんな意味があるのかと
強く興味を持った。

「人に聞くよりも、先に自分が名乗るべきなのだよ」

初めて聞いた声に
小さく自分の心が跳ねたのを
俺は逃さなかった。

そしてある物が胸をくすぐった。

「ぷっ…ぎゃはははははっ!」

「な、何がおかしいのだよ」

いきなり俺が笑い出したのに驚いたのか
平静を装うため
彼は眼鏡を上げた。

「な、なのだよって!なのだよってなんなのだよ!あはっ、ぎゃははっ」

あまりにもその容姿と
"なのだよ"という口調が釣り合わず
不意を突かれた俺は
見事にツボに入ってしまった。

「あー悪りぃ悪りぃ。俺は高尾和成。よろしくな!」

握手を求め
手を差し出したが
見事に振られてしまった。

「…緑間真太郎。」

「緑間真太郎…真太郎…真ちゃんな!よろしく!」

「は?」

不抜けた声もらしくなく
あまりの面白さに
しばらくの間腹を抱えた。

何が可笑しくて笑うのか
本当は自分でも良く分からなかった。

ただただ
こいつへの興味が上がるばかり。


照れ隠し。


そんな言葉はまだ知らなかった。
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