黒子のバスケ

□BUZZER BEATER
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足は、もう動かせなかった。

痛む目を押さえながら
必死にある一人の影を探す。

いつもなら
普段なら探そうとしなくても
無意識のうちに見つけられたのに。
見えない、感じない。

試合会場の応援も
大坪さんの出す声も
宮地さん、木村さんの掛け声も
何も耳に入らない。

ガタガタと震える膝に
何度も拳を叩きつけて
今にも崩れ落ちそうな身体を
意識だけで繋ぎ止め
ディフェンスに付いている赤司を見上げる。


第三クォーター


ハーフタイムに
監督、何言ってたっけ

あぁ、でも、きっと
真ちゃんで行くんだろうな。

なんで
目の前にいるこいつは
一切息を乱していないんだろう、とか
なんでここだけ
空気が冷たく感じるんだろう、とか

赤と黄の瞳が
刺すように、悠然と見つめる。

まるで
"無駄だと"笑うように。



これか。そっか。



これが俺の限界なんだね。









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