テニスの王子様vol.2

□欲
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愛して
愛して
愛してと

早る心が脈を打つ。

いつまでも届かない背を
届かない手を振り回して

欲しい

全てが

貴方のその全てが

カリスマ性、センス
ラケットを持つ手も
振りかざす腕も
フットワークを踏む脚
全てを見透かした目線
見下ろした、言葉を紡ぐ唇。

全て自分のモノになればいいと
超えたいモノが
全て自分を惹きつけて、離さない

おかしいんだ。

身体中から欲が溢れて止まらない。

「どうした日吉?」

おかしいんだ。

「な、なにをっ!?」

衝動が止まらない。
抑え付けた腕に
篭る力がどんどん強くなる。

「なんで、なんでこんな」

ーこんなハズじゃなかったー

そう。
これはただの憧れと目標だった。

なのになんで
こんなに想いが止まらない。

疼く胸の衝動が
キツく締め付けて
熱くなる。

「何がしたいんだおま…っん?!」

欲の動かすままにキスをした。

舌を絡めて、落ちて
響く水音

「っく…ふ、ぁあ……」

漏れる息に耐える声。
零れる自分の涙が
水音に混じり塩気が広がる。

「…好きです。貴方が好きです…っ」

貪るように首筋に吸い付き
想いのままに言葉を吐き出す。

「ふ、ざけるな…!ならなんでこんな、っあ…ぅあぁ…っ」

欲望を抱えた腕で
抱き寄せて犯した。
何度もキスして、何度も果てて

おかしいんだ。
おかしい
助けて。

「跡部さん…」

堕ちていく自分を
汲み取って欲しい。

ただ走って来たモノが
全て崩れそうに
グラグラと揺れる感情の境界線

ー愛して 深く 共に堕ちるまでー







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