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□■ジュノ短編妄想■「セットアップは部屋の中で」
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cr. kyonco


密室のエレベーターの中で、私達は・・・いや厳密に言うと「彼」はその袋を抱えながら汗を滲ませていた。
階数を表示するディスプレイの数字はどんどん上に上がっていく。
ドアが一旦開き、我慢しきれなくなった彼はドアから降りようとするが、「この階じゃないから」と冷静な声で伝えると不満そうに唇を尖らせた。
老夫婦が降りるのを見届けエレベーターに二人だけ残されると、ようやく彼は口を開いた。

「先輩〜もう重いですったらこれ〜!!!」

家電の量販店で買ったノートパソコンと性能の良さそうなマイクロフォンとその他備品が入った袋を抱えながら、彼はその重さに耐えていた。

「あともうちょっと!ごめんねぇ〜いろいろ買い足したら意外と重くなっちゃったぁ〜。」

私はわざと甘ったるい声を出して彼を鼓舞しようとしたが、職場の先輩からそんな声で甘えられても大して嬉しくはないのだろう。
彼は、もぉ〜と困ったような顔をして、最後の踏ん張りを見せた。

エレベーターがチーンという音を立てて止まり、ドアが開いた。
私は先に降り、ドアを手で抑えた。

「この先の一番奥まであと少しだからがんばってね、ジュノ。私先に行ってドアの鍵開けておくから、落とさないように踏ん張ってよー!」

小走りに先を進み、バッグの中から鍵を取り出すと急いで鍵穴に入れドアを開けた。

「もぉ〜ダメです。ここでいいですよね?ここ、いいですか?」

「あ!ゆっくりね!優しくだから!あ、ダメそんなんじゃ・・・もっと優しく!」

疲労感丸出しの彼がハァハァと息切れしている姿が、なんだか違う状況を妄想させて妙におかしかった。
私のラップトップは無事に玄関先に置かれ、ご主人様が部屋の中へ運んでくれるのを待っている。

「じゃあ、僕は・・・」

遠慮がちに小声でつぶやく彼は帰りたがる様子もなく、ただ常識的なことを考えてここではそう言っておくべきだよな的な表情で、上目遣い気味に私の機嫌を伺っている。

「お疲れさま〜。まぁコーヒーでも飲んでいってよ。お礼におやつでも出すから。」

私は職場でよく面倒を見ているこの彼に、弟的な可愛さを感じていた。
「おやつを出す」という表現は、成人男子には失礼なのかもしれない。
けれどそれを失礼と感じるわけでもなく、彼は嬉しそうに新品のスニーカーを脱ぎ始めた。

「わーい♪おやつは何かな〜。さてさて〜♪」

ずんずんと先に進む姿は、どう考えても独身女子の部屋に初めて上がる男子とは思えない。
やっぱり久しぶりに会う姉の部屋にやってきた弟の姿だ。

「おやつあげるから、ちゃんとインターネットのセットアップもやってから帰ってね〜」

私はキッチンでお湯を沸かしながら、ちゃっかりパソコン関係の設定も頼んだのだ。

「鬼ぃ〜!!!そうやっておやつで釣るつもりですか?」

「そうそう、おやつで釣れそうな君だったから。」

「ひでぇ〜!!!」

彼とのやりとりは職場でもこんな感じで、まったく気も使わずに楽しいものだった。
しかし女子の一人暮らしはやはり珍しいのか、きょろきょろと挙動不審な態度も見せ始めた。

「先輩どんな音楽聞くんですか?」

最近はさっぱり聴かないな〜などと返しながら、ドリップ式インスタントコーヒーを淹れる。
やはり淹れたてのコーヒーは香りがいい。
新しいノートパソコンのことを考えるとウキウキするし、今日はやっぱり気分がいい。

「やっぱりジュノに選んでもらってよかったわ。私パソコンのことはあんまりわからないから。
誰かのアドバイスが欲しかったんだけど、家電屋さんの口車に乗せられるのは嫌だったの・・・
はい、お礼。コーヒーとアップルパイ。」

トースターで少しだけ温めたアップルパイは外がカリッとしてておいしかった。
彼はにこにこしながら大きな口であっという間に食べ終わると、今度は冷蔵庫に行って少しだけ牛乳を入れ足して、カフェ・オ・レもどきを飲み干した。

「そんなに急がなくても・・・」

「ちょっとお腹も空いてたし。ごちそうさまです。おいしかった。」

口の端をぺろっと舐める彼の仕草に一瞬ドキッとしたけれど、よくよく考えればもうお昼ちょっと前。
悪いことしたなと思いながら、玄関先に置いた買い物袋の中身が気になり、彼を背に廊下を少し戻る。

「ごめんねー、午前中で終わるかなーセットアップ。終わらなかったらお昼も奢るし・・・」

中腰でノートパソコンが入った箱を袋から出そうと屈んでいた私の背中に温かいものが触れた。
それは彼の手のひらに違いなかった。

「え・・・?」

立ちながら振り向くと、そこには彼が真顔で立っていた。
目の前には彼の胸。私は顔を上げて彼の顔を見上げる形になった。

「えっと・・・ちょっと近いな・・・もうちょっと下がってくれないと話ができな・・・」

いきなり唇を奪われて、私の思考も同時に奪われた。
コーヒーとアップルパイが混ざったような味。
唇を離すと今度は私の左耳のすぐ下に唇を寄せた。

鼻先と額と唇と舌と。
甘えるように擦りつけたり吸ったり舐めたり。
そして今度は私の耳の中に舌を侵入させてきた。

「あ・・・ハァ・・・」

私は思わず声を漏らした。
そこは私が感じやすいところだったからだ。

「セットアップはこの後だよ・・・ちゃんといい子にしてないと、設定してあげないからね。
他の誰かをこの部屋に呼んでヌナのノートパソコンをセットアップなんてこと、
させないから。僕が全部してあげる。」

いつの間にか身体をくるりと半回転させらて後ろを取られた。
私は壁向きで額をその壁に付けた。

首の裏を丁寧に舐められるうちに、胸の突起が固くなってくるのを感じた。
私の中の何かが首をもたげて、自分を主張し始める。

「ここ・・・ほら・・・固くなって立ち上がってるよ?」

後ろから耳元で囁かれるのは最高にいやらしい気分だ。
両胸を掬い上げるように手のひらで覆おうと、指で私の先端を刺激する。

「あ!・・・・んん」

あまりの快感に私は少し仰け反ってしまった。

「ヌナは感じやすいんだね。可愛い・・・会社ではあんなに頼り甲斐があるのに。」

会社ではみんなの弟分のくせに、こんな風に私を言葉責めするなんて酷い。
甘えるように責めるなんて、私の許容範囲を超えているわ。
こんなの絶対にダメ・・・
自分の身体を擦り寄せ甘える彼に、私の心は溶けていく。
そして私の身体も・・・
いつしか私の身体の芯は、トロトロに溶けて膨らんでいた。

彼の大きな手のひらの片方が下にずれていく。
へそを通り、私のジーンズの中に滑り込むと彼の指がそこに触れた。

「は・・・」

思わず声が漏れる。
そこはもう湿っていて、自分の欲望を知られたようで恥ずかしかった。

「濡れてる・・・ヌナのここ・・・」

「そんなこと言わないの・・・」

「だってここはもっと欲しいって言ってるよ?このジーンズ、下ろそうね?」

後ろから器用にベルトを外しファスナーを下ろすと、もう我慢できなかったのかするりと指を挿れてきた。

「んんんん・・・」

「簡単に入ったよ・・・そんなに欲しかったの?」

浅く挿れられた指は、焦らすようにゆっくり動いている。
それ自体気持ちいいが、やはりもっと奥まで欲しくなる。
私はいつの間にか指を誘導するように腰を動かしてしまっていた。

「可愛い、ヌナ・・・もっと動かして・・・もっと欲しがって・・・」

甘えるようなその声を耳元で囁かれ、私はもう我慢できなくなってしまった。

「ジュノ・・・ん・・・我慢できない・・・ジュノのが欲しい・・・」

じわじわと身体が開いていくのがわかる。
少しずつ口を開き、喉の乾きを癒すように、私の身体は彼の一部を要求した。
そう、彼の迸る情熱の雫を飲み込むために。

「じゃあヌナの背中を見ながら逝きたいな。」

「うん・・・」

素早く自分もズボンを下ろすと、私の指に導かれ彼はゆっくり入ってきた。
彼の胸が私の背中にぴたりと重なると、今度は鋭く下から射抜かれた。

「あぁ!!!」

ゆっくりと、しかし力強い彼の若い情熱のリズムが私の身体を二つに切り裂く。
彼は私に全てを預けながら、私への欲情した思いをぶつけてくる。
甘えん坊の彼が愛おしかった。
そして、こんな時だけ大人の男の匂いを隠さない彼に全面降伏した。
彼に犯され、辱めを受けたかった。
今の私は、紛れも無く「女」だった。

楽しむ余裕などなく、私達はお互いに一気に登りつめたかった。
早く頂点に達したかった。
また何度も何度もその頂きを感じるために。

「あ・・・ああああ!!」

彼のその瞬間が訪れ、息が漏れた。
私達は同時に達し、溶け合った。

息が上がって落ち着くまでに時間が掛かったが、やがて私達は廊下に身体を横たえて、どちらからともなくクスクスと笑い始めた。

「最短記録かも。」

「えーそうなの?」

「だって、先輩すごくよかったもん。」

「その先輩はよそうよ。」

小さなキスを何回も交わしながら、私たちはふざけあった。

「ね・・・セットアップ終わったら、またご褒美がいいな。」

「お昼ご飯は何がいいの?」

私は彼の髪を触りながら聞いた。

「ヌナの・・・女体盛り」

「バカッ!!!!!」

私達は笑い転げて、そしてまた深い深いキスをした。
またあの高みに登りつめるために。

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