指先だけで、甘い熱を…
□真夜中の食事。
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サラサラと夜風に吹かれ、私の髪が銀に煌めく。
「う…あぁ…」
男の声が暗くなった路地に木霊する。
汚い。
そんな声出さないで。
『黙れ。…お前はただの餌なのだから』
虚しくも、私は血を吸わないと生きれないらしい。
半分吸血鬼だからか…、なんて、思ってみる。
こんなことなら、こんな血なんていらなかった。
私を捨てた…あの親も。
『…っ』
「うぁあっ…!」
強く吸うと、男が喘いだ。
どうやら気持ち良かったらしい。
着物の裾の方が、白く汚れていた。
『……』
血を吸われた者は、皆こうなる。
耐えられた相手なんて…いない。
ねえ…あなたはどうなの?
いつも私に熱い視線を投げかけてくる…着流しを着たあの人。
『…もっと面白いものはないのか』
何も変わらない日々。
…刺激が欲しい。
私は失神した男をその場に投げ捨てた。
真夜中の食事。
(ああ…退屈で仕方がない)
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