指先だけで、甘い熱を…
□耳元に響く声色。
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『鯉伴…離せ…』
「…離したくない、と言ったら?」
『っ…』
再び熱い瞳で見つめられ、胸が締め付けられる。
私を抱きしめる腕は、まるで逃がさないようにと力強く、優しく私に触れている。
「はぁ…琉威…」
『だ…めだ!私は遊女だ!っ…離せ!!』
「そんなの関係ねぇよ。俺はお前じゃなきゃダメなんだ…」
一層抱きしめる力が強くなる。
『っ…鯉伴、どうして私なんだ。私は汚れて…』
「汚れていようがいまいがどうだっていい…。これからは俺だけに抱かれりゃ良い事だろ…?」
『そっ…それがどういう意味なのか分かって言っているのか、お前は…!』
「あァ…分かってるよ…」
鯉伴は再び熱く吐息を漏らしながら、グッと更に引き寄せた。
鯉伴の体にまたがる様に座っている為、引き寄せられると重心が傾いて、自然と抱き着く形になる。
『はなっ…』
「離さねぇよ。…もう、逃がさねぇ」
『鯉伴…』
「もう、限界だ」
『え…?あっ…!』
丁度目の前にある私の胸に、鯉伴は優しく口付け、手は厭らしく腰を撫でまわし、するすると服の間から侵入してくる。
『やめっ…ひっ!?』
ぷるん…と服を下に下げられ、胸が外気に触れる。
そのまま頂きを口に含まれ、軽く歯を立てられた。
『りはっ…ま、ッ…この体は…!』
「今さらやめられるか。俺を感じろ、琉威」
『っああ!』
突然、秘部にズプリと指を2本入れられる。
既に濡れそぼっていたそこは、嬉々としてその指を受け入れ、中は蠢く。
「はぁ…すげぇな、琉威。いつも以上じゃねぇか?」
ニヤニヤした顔でこちらを見つめられ、フツフツと怒りが湧いてくるが、今はそれを口にできるほどの余裕はない。
『やぁっあっ…だ、め…りはっ…!』
「…興奮するな、その声」
『きっ…くな…ぁあっ!』
ぐちゅっ…と水音がこの静かな川辺に響く。
それほどまでに濡れているのだと思うと、恥ずかしく思った。
『っ…ひぁ…ぅ…鯉伴っ!?ちょっと待てッ…お前…!!』
「は…ぬるぬるだ…」
徐に私を草むらに押し倒した鯉伴は、あろう事がその水源に顔を近づけた。
『嘘っ…んぁっ…あっあぁあ…っ』
ぴちゃぴちゃっ…ぐちゅっ…
舌と指を使って鯉伴は丁寧にそこを責め立てる。
その優しい愛撫に、私の体は次第に力をなくしていった。
『っだ…め、だ…っあ…やめ、りは…っん』
「…もう、遅ぇよ」
『っ…やぁ…!!』
グッと熱い物をそこに当てがわられる。
私の目の前は涙でゆがんで何も見えない。
でも、必死に止めてほしくて、抵抗した。
『やめっ…鯉伴…!!』
「はぁ…琉威…」
『待てっ…この、体っ…は…』
ググッ…
『ひっ…い…たっ…!』
「…琉威?」
熱い塊が一気に半分ほど入った時、思わず悲鳴を上げた。
『バ…カ、お前っ…“この体”…は、まだ誰ともっ…』
「っ…まさか!」
急いで結合部を見た鯉伴が、息をのんだ。
遊女である緋里からは既に出る筈のない…血液がそこから流れ出ていた。
吸血鬼であるこの体は…まだ、誰とも性交をしていない。
「…生娘、だったのか…」
『…だから、待てと…言ったろうが…。はぁ…も、抜け…』
痛い、痛い…じくじくと疼く体は、鯉伴を欲してやまない筈なのに…この体は拒んでしまう。
好きなのに…会いたかったのに…。
狂おしく襲いかかる痛みに、思考が停止する。
とにかく、この痛い物を抜き去りたくて、私はグッと鯉伴の肩を押した。
「…お前の、琉威の初めては…俺が貰う」
『は…?何を言って…ぅぁあっ!!』
鯉伴はあろう事か、再び腰を進めてきた。
その胸に手を当てて押し返そうとするも、時すでに遅し。
…結局私は、全てを受け入れてしまったのだった。
耳元に響く声色。
(それは私の思考と溶かす、麻薬)
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