廻る廻るメリーゴーラウンド

□廻る廻るメリーゴーラウンド
1ページ/4ページ

「うわぁ…」
思わずこんな声が漏れてしまった。昇降口に来てクラス分けを見てみればどこかで見たことあるような名前のオンパレード。因みに担任は武田信玄。甲斐の虎だ。唯一の救いは中学で割と仲が良かった真樹ちゃんとおなじクラスだっった事か。あ、三成も吉継もおなじクラスだ…。嬉しいような悲しいような。こうしていてもしょうがないと自分のクラスに向かう。

ガラガラと引き戸を開けるとまだ誰も帰って来ておらず、私一人。超居たたまれない。
これといって特筆すべき事も無いありきたりない教室。黒板に書かれた席順表をもとに指定された席に荷物を置いたりしていれば入学式も終わったらしくどやどやとクラスメート達が帰ってきた。
「燈子ちゃん!倒れたって聞いたけど大丈夫?」
「少し貧血を起こしただけだから大丈夫。心配してくれてありがと。」
良かったぁ!!と大袈裟なまでに安心してくれるのは真樹ちゃん。私には釣り合わないほどのかわいらしさだ。朝から色々あって疲れていたのが癒やされていく気がする。

「燈子!!」
ほのぼのしていたのも束の間、背後から物凄い怒声が降ってくる。この声は…
「三、成?」
引きつった顔で恐る恐る振り返ってみると怒りもここに極まれりといった感じの三成が立っていた。
(私の高校生活初日から詰んだ!)
「貴様、私の顔を見た途端気絶するなど良い度胸だな!」
「ごめん!再会の喜びでついバターン☆と」
「バターン☆じゃない!」
叫び散らしなながら私の胸倉を掴み上げる三成。400年越しの既視感が胸をよぎる。
「やめて、三成、苦しい…てか、みんな見てる…」
「私の知った事か!」
いや、本当にクラス中の注目の的になってるから私達!真樹ちゃん怯えてるし!
本格的に本日二度目の失神をしそうになったところでタイミングよくチャイムが鳴る。
忌々しげに一度舌を鳴らした三成はポイッと私を投げ捨てて自分の席へ帰っていった。
「燈子ちゃん、大丈夫?!」
けほけほと咳き込む私の真樹ちゃんが背中をさすってくれる。
「大丈夫、慣れてるから。」
「え?」
あ、墓穴掘った。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ