ほっぷすてっぷじゃんぷ!

□ほっぷすてっぷじゃんぷ!
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「吉野ォ?!」
飲みかけの紅茶を吹き出しかけた私を尻目に父さんは悠々と朝刊を読んでいる。
「吉野って、どこ?」
「京都。」
「京都ォ?!」
ここは東京だ!
更に声を張り上げる私なのに父さんは新聞から目を離さない。
「え、じゃあ高校どうすんの!もう制服買っちゃったよ?」
そう、私はこの春から高校生。通う予定なのは“私立天の川高校”。新設校ながら充実した設備と生徒の自主性を尊重する校風で結構有名だ。かくいう私も天高に通うのかなり楽しみにしてたのにな…。
でも、父さんの転勤なら仕方ない、か…。それより今からでも転入させてくれる学校なんてあるのかな。
「だからお前、下宿しろ。」
「下宿?」
そういうと父さんはやっと新聞を畳んでこちらを見る。
「あぁ。父さんの知り合いでこの近所で下宿をやっている人が居る。そこでお世話になればいい。話はつけてある。」

父さんの話によると知り合いの【本郷さん】なる人が下宿を経営しており、知り合いの特権という事で格安で私に部屋を貸してくれる、と言うことらしい。しかもその【本郷荘】、今時珍しい三食賄いつきなんだそうだ。
築年数はそれなりに古いがセキュリティーも万全、住民の方もその道の人が多いらしい。…警察官かなにかかな?
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