廻る廻るメリーゴーラウンド

□廻る廻るメリーゴーラウンド
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夢を見ていた。いつもと同じ夢。だけど何時ものよりもずっと鮮明な夢。なんだ、私と話していたのは三成か。吉継も家康も居る。あぁ、向こうに居るのは秀吉様と半兵衛様じゃないか。
そうだ、思い出した。私は…―
胸につっかえていた何かがするする溶けていく。
「ん…」
ゆるゆるとまぶたを開けると目に入ってきたのは見慣れない天井。ツンと薬品の匂いが鼻をつく。ここは、病院?いや保健室だろうか。だとしたら彼が運んでくれたの…?
「おや、目が覚めましたか。」
突然カーテン越しに声をかけられる。びっくりしてそちらに顔を向けるとシャーッと安っぽいカーテンの音と一緒にいかにも怪しい人が現れた。
「そんな目で見ないで下さい、怪しい者ではないのですから。私は天海、れっきとしたこの学園の養護教諭です。」
怪しくない人は白衣の下にサテンのシャツと革パンあわさないと思うけどなぁ…。
そんな私の視線を気にも留めず天海、先生は恍惚とした表情で語り出す。
「時たま居るのですよ、貴方のように一気に記憶を取り戻してオーバーヒートをおこされる方が。」
ちょっと待ってくれ、その言い方だと私の他にもその、記憶を取り戻した奴がいるということか?理解しきれない私を置いて先生は話を続ける。
「袖すりあうも多生の縁というでしょう?なら、同じ学園に通う者同士ならもっと濃い縁があったとしてもおかしくない。違いますか?」
ぽかんとした表情の私に先生は慈悲を含んだ微笑みを投げかける。
「少々話すぎてしまいましたかね。入学式もそろそろ終わります。昇降口にクラス分けは張り出されてますから、自分の教室にお行きなさい。」
その言葉に壁の時計を見ると確かに入学式が始まる予定の時間より一時間ほど時計の針が進んでいる。
入学式からぶっ倒れて保健室行きとか絶対虚弱体質のレッテル貼られたよ、私…。
軽くうなだれた私を見て天海先生は「何かあったらいつでもいらしてください。相談にのりますよ」と慈悲深い笑みで送り出してくれた。保健室を出て言われた通りに昇降口へ向かう。
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