廻る廻るメリーゴーラウンド

□廻る廻るメリーゴーラウンド
2ページ/4ページ

真樹ちゃんはとてつもなく微妙な顔をして自分の席へ帰っていった。真樹ちゃんと入れ替わりに私の隣に来たのは
(なん、だと…)
「貴殿が篠宮殿か!某、真田幸村と申す!宜しくお頼み申します!」
また強烈な既視感が私を襲う。忠犬を思わせる真っ直ぐな瞳と年齢より幼い印象を与える顔立ち。「真田くん、か。こちらこそ宜しく頼む。」
そういった私の声は聞こえていたのか。真田くんは難しい顔をして私をじろじろ眺めている。
「どうかしたの?」
「…いや、申し訳ありませぬ!実は、篠宮殿を見ていると初めてお会いしたように思えぬのです。以前にお会いしたことは無かったか?」
こてん、と首を傾げてみせる真田くんには母性本能を擽る機能でもついてるのだろうか。まさか400年前にあるよ、など口が裂けても言えず、曖昧に頷くだけに留める。
ガラリと引き戸を開けて甲斐の虎、いや担任が教室に入ってきた。まだ頭を抱えて難しい顔していた真田くんもバッと顔を上げてその表情を輝かせる。世は変わってもこの二人の師弟関係は続いているということか。HRは簡単な自己紹介など、思ったよりありきたりな内容で進んでいった。
(不思議だ…)
私は前の世の事を覚えている。どうやら三成も覚えているらしい。だが、真田くんは覚えていないみたいだ。なら、他の奴らは?まだ顔を見ていない吉継は?
覚えてないようだったら結構へこむ自信があるな。
(会った事も無い奴に何期待してんだ、私)
口許に自嘲の笑みを浮かべてやれやれと首を振る。とんだセンチメンタリズムだ。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ