廻る廻るメリーゴーラウンド

□廻る廻るメリーゴーラウンド
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「朝からオツカレサマ、とでも言ってやろうか」
ぼーっとしていたらいつの間にかHRは終わっていたらしい。上から知らない声が降ってきた。顔をあげると見たことない男子の顔。
「我よ、ワレ。よもや忘れたとは言わせぬぞ。…ヒヒッ」
独特の引き笑い。
忘れる訳が無い。
「…吉継?」
「その間は何よ」
無言でビシッと眉間を弾かれる。地味に痛い。
「仕方ないでしょ、今日思い出したんだから。」
「まァ、そういう事にしといてやろ。」
意地の悪い笑みを浮かべるその顔は彼が病に冒されて包帯でその身体を覆う前によく目にしたそれで。
「てか、朝のアレ、見てたの?」
「はて、アレとはどれだ?主が三成の顔を見た途端に倒れた事か?主が三成に胸倉掴まれたことか?我はそれしか知らぬ。」
「それ全部じゃないか!」
「そうとも言うな」
また意地の悪そうな引き笑い。

「…なあ、身体の調子はどうだ?」
前の世で彼が罹ったのはその身を蝕む恐ろしい病。そりゃあ、今では治療法も確立しているが、彼が苦しみ続けるのは理不尽って奴だろう。
「主が思い煩う事など何一つ無い、我は万全よ」
そう言った彼はあの意地悪い笑みではなく穏やかな表情。
「なら良かった」
「主は心配性よな、昔も今も」
ニヤニヤ笑いながら頭を撫でられるのは腹が立つが、まぁ、良いか。
一人こっそり幸せをかみしめていたら勢い良く教室のドアが開いた。
「刑部!…燈子も居たのか、丁度良い。」
入って来たのは三成で。ここまで全力疾走してきたらしく珍しく僅かに息が上がっている。
「主がそこまで急くのは珍しいな。何があった?話してみせ」
「秀吉様と半兵衛様だ!」
「はぁ?」
秀吉様、半兵衛様?
そのお名前は確かに私が前の世でお仕えしていた方々のそれで。
言うがはやいか、三成は私と吉継の手をひっつかんで立たせると何処かへ連れて行こうとする。訳分からないまま引きずられて連れてこられたのは“生徒会室”。ちらりと吉継の顔を盗み見てもぽかんとしている。
「失礼します。」
状況についていけない私たちを置いてドアをノックする三成。心なしか声が震えている気がする。緊張してんのか。
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