バアル
□サァ、飛ビ込ンデ!
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甲板に倒れた2匹は現在医務室で治療中。
賭けは船長の1人勝ち。
ヒマを持て余し、娯楽を求めていた船員達は・・・。
「「「マジかよ〜・・・」」」
色んな意味で完全に凹んでしまっていた。
「グララララララッ!
テメェらもまだまだ弟のコトが分かってねェなァ?」
「くっそ〜!!」
「絶対不死鳥の能力使いこなし始めたマルコのが勝つと思ったのにっ!!」
「サッチだって最近かなり体術向上してんだぜ〜?」
「オレが教えてんだから当然だな」
「いやいやいやっ!
マルコだってオレが教え出してから相当・・」
「いやっ!!!」
「グララララララッ!」
凹んでいたハズが、気が付けば弟自慢に変わっている船員達。
なんとも微笑ましい光景だとニューゲートは酒を呷りつつ笑ってしまう。
なんだかんだで弟を可愛がっているのだ、ここの船員達は。
「もう痛くねぇ!!」
「ハッ!強がんなよい!」
マルコが!サッチが!と船員達が言い合っている最中、船尾楼の扉が開いて現れたのは話題の2人。
何やら言い争いながらやってきた2人は、我先にと甲板に出てきたかと思えばまたも睨みあい。
「今勝負したってオレの圧勝に決まってんだろい?
さっちゃんはギャレーにでも引っ込んでお料理してりゃ良いんだよい!」
「ざっけんな!
南国フルーツ相手にゃこの程度ハンデだろ?ハ ン デ !!」
ガルルルル・・と唸り声さえ聞こえてきそうな2人。
包帯だらけのサッチと違い、マルコはさっきのケンカが嘘のように無傷でサッチを見下していた。
「あー・・・不死鳥の能力使われたらそりゃあアイツに勝ち目ないわな〜」
「無敵だし?ああなると」
「マルコに勝てるワケねぇって〜」
不死鳥の能力・・それは有限でこそあるがダメージをなかった事に出来てしまう能力。
確かにどれだけ傷付けても治ってしまうのなら、治せないサッチに勝ち目なんてないように思えた。
思えたが・・・。
「不死鳥だかなんだか知らねぇがなぁ!?
オレからしてみりゃ頭にバナナ乗せた泳げねぇスズメなんだよっ!」
サッチはそうでもないらしい。
ズビシッ!!とマルコを指差して、テメェなんざ焼き鳥にしてやるっ!!と宣言している。
「・・・イイ度胸だ、コラ・・」
そしてまた、そんなやっすい挑発にノッてしまうのがマルコだった。
「なんっつーかさぁ?」
「あー?」
「なんでマルコ、サッチにだけは我慢できねんだろうな?」
「あー・・」
お互いの間で鳴ったらしいゴング。
ぶつかりあうサッチとマルコ。
それを遠巻きに見つめつつ、アイツ確かにすぐ反発してくっけど手はあんな早くねぇべ?と1人の船員が首を傾げる。
「ソレ言うならサッチもだろ〜?
アイツ、確かに鬱陶しい時はあっけどあそこまで相手を激昂させねぇぜ?普段」
「あ、確かに」
2人共若さゆえの気の短さは多少持ち合わせちゃいたが、それでも兄達に可愛がられ同期とも仲良くなっていた。
それが何故かお互いのコトだけは存在さえも許せないようで、姿を見ただけでああして取っ組み合いの喧嘩になる。
「グラララララララララッ!」
不思議そうに喧嘩を見つめる船員達。
そんな中、1人だけ事情が分かるらしいニューゲートは1人楽しげに笑った。
「「テメェにだけは負けねぇっ!!!」」
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