ハイスクールD×D 鯉物語
□第四話
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今、俺はイッセーが漕ぐ自転車の荷台に腰掛け風を受けていた。
イッセーは懸命に漕いでいるが、気のせいかその姿は苦しそうだ。
まあ、俺が乗っているから当然か。ははははは。
しばらく走っていると、ある一軒家の前にイッセーは自転車を止めた。
「おい、イッセー。この家、ちと妙じゃねぇか?
人の気配はするが、若干殺気が混ざってやがる。・・・気をつけろ?」
俺はブザーを押そうとしていたイッセーに異変を指摘する。
「ああ、わかってる。でも、入らないわけには行かない。今度こそ、契約を取らなくちゃいけないからな。」
イッセーもそれに気づいてはいたが、悉く契約を取れないことに焦りを感じ初めていたため、中に入ることにした。
だが、イッセーが家のドアノブにてをかけたとき、異変に気づく。
ドアには通常ならば掛けられているはずの鍵がかけられておらず、ドアが開いていたのだ。
「ッ!!」
その時、中から血の臭いが一気に迫ってきた。
イッセーは気づいているかどうかは分からなかったが、少なくとも空気がヒンヤリしていることには気づいているようだ。
イッセーは、表情を強ばらせ恐る恐る蝋燭ほどの明かりの方へ歩を進める。
そして、儚い明かりが灯る部屋・・・というより、リビングに付くと、イッセーは、嘔吐(おうと)しそうになり、口を手で塞いでいた。
俺もリビングに入ると、思わず表情を歪めるのが自分でもわかった。
そして、腹の奥底から何かが湧き上がり、俺も嘔吐しそうになるが、何とか耐えた。
俺が見た光景。それは・・・
ーーー悲惨なまでの状態になった人の遺体だった。
俺はその遺体に手を合わせ黙祷し、イッセーは声から察するに耐えられなくなったのだろう嘔吐していた。
「ッ!!ーーー誰だ!!」
と、その時、不意に此方に向けられる強い殺気、敵意にに気づく。
「『悪いことする人はお仕置きよ!』って、聖なるお方の言葉を借りたものさ。ってかさ、君ぃ〜、な〜んで俺が居ることに気付いちゃってくれてるわけ?。悪魔と連んでる分際で生意気だよ?君。」
俺の見た方向から白髪で神父服を着た男が姿を現した。
「なんでって、そりゃあ殺気や敵意を向けられたからには誰だって気付くさ。・・・こいつ以外な。」
俺はそう言ってイッセーを指差す。
「ちょっ、お前、それはないだろ。」
イッセーがなにやらわめいているが関係ない。
「あらら、そうなのん。
あ、そうそう、俺、フリード・セルゼン。これでも神父なわけ。
あ、俺が名乗ったからって別に名乗らなくて良いよ。
俺の少ない脳内メモリーにテメエらの名前なんざ保存したくない訳よ。
まあ、とりあえずーーー」
フリードは懐から柄だけの剣と、銃を取り出し、
「ーーー死ね!!」
と、言い、銃の弾を放つ。