ハイスクールD×D 鯉物語
□第六話
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フリードが逃げて行った後、部下も大半がやられ、レイナーレは焦っていた。
レイナーレに同調してきた、ドーナシークやカラワーナ、ミッテルトは相手に捕まる、もしくは殺され、堕天使は戦いで傷を負った自分一人となってしまったのだ。そして、フリードの逃走に部下のはぐれ悪魔払いは壊滅。
様々な要因がかさなり、レイナーレは焦りを濃くしていったのだ。
「さあ、レイナーレ?後は貴方だけよ。覚悟はいいかしら?。」
リアスはドスの利いた声でレイナーレに話し掛けた。
当のレイナーレは小刻みに身体を震わせ、怯える表情をしていた。
「ぶ、部長!!」
と、そこへリアスに話しかける者がいる。
リアスは声の聞こえた方へ向いた。その声の主はイッセーだった。
「何かしら?イッセー。」
リアスは少し怪訝そうにイッセーに聞く。
イッセーは一つ深呼吸をすると、口を開いた。
「あの、部長・・・。こんな事言うと難ですけど・・・、あの、こいつを見逃してあげませんか?」
イッセーからのとんでもない提案に鯉判以外驚きの表情を見せる。
「・・・イッセー?自分が何を言っているかわかってるの?
彼女は貴方を殺し、弄んで、しかも、私利私欲のためにこの子の神器を奪い命を奪おうとしたのよ?。
それに今後、彼女がアルジェントさんを狙わないとは限らないのよ?」
リアスは怒りを露わにしてイッセーに言った。
「そんなことは俺もわかっています。でも、彼女はそこまで追いつめられていたんだと思います。
俺のことはもう何とも思ってません。だから、お願いします。」
とイッセーの真剣がリアスを真っ直ぐ捕らえる。
リアスはため息を吐くとレイナーレに向き言い放つ。
「堕天使レイナーレ。今回はイッセーの顔に免じて見逃してあげる。感謝しなさい。今後はまともな生き方をしなさい。」
リアスがそう言うとレイナーレは屈辱にまみれた表情で去っていった。
「・・・これでいいでしょ?」
リアスは不満な表情でイッセーに問う。
「はい。ありがとうございます。」
イッセーは少し笑みをみせているが表情は暗い。だが、どことなく安堵の色をイッセーは見せていた。
「それじゃあ、帰りましょうか。」
リアスはにこやかに微笑んでいう
と一行は教会を出る。
ーーーすると、
鯉判は何かを感じ、着物の懐に忍ばせておいた刀を抜き身の状態にし、気配を感じた方向に刀をふる。
すると、辺り一帯に金属音が響く。
「・・・チッ!!」
「あなた・・・何者?」
鯉判と対峙する相手を見て、リアスは相手に問いただした。鯉判の得物と交えている物、それは、巨大な<爪>であった。
しかも、その<爪>は相手の背中から生えていて、まさに怪物を思わせる風貌であった。
すると、怪物は「クククッ」と笑うと、野太い声で口を開く。
「ふん、あの堕天使は神器獲得に失敗したか・・・。
だが、あやつが成功しようが失敗しようが関係ない。
いずれにせよ、殺し奪うのだから。」
「いきなり・・・何のことだ?。」
イッセーは突然話し出した怪物に聞いた。それもそうだ。いきなり攻撃し、いきなり喋り出した相手を不信に思っても仕方ないことである。
だが、怪物はイッセーの問いを無視し、背中の中を探る仕草をすると、爪の先に人型の物を取り出した。
それをイッセー達が見た途端、驚愕の表情に変わる。
それもその筈・・・その人型の物の正体は・・・
「・・・ア・・・アーシア!?」
イッセーの叫びが古びた教会内に響いた。