ハイスクールD×D 鯉物語

□第壱話
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 俺ーーー奴良鯉判は、今現在、剣道部の道場にて目の前の爽やか風イケメンと対峙していた。
 こいつの名は、確か、木場祐斗だったな・・・多分。まあ、本人がそう名乗ってんだから大丈夫だろ。
 その爽やか風イケメンこと、木場祐斗は竹刀を姿勢よく構えて、試合の合図を待つ。
 何故、こんな事になったかと言うとだな、まず、俺たち剣道部はいつも通り、素振りや摺り足などしてから打ち合いをしていたんだが、道場の外から黄色い歓声が上がったと思ったら、こいつが現れて、剣道部に試合を申し込んで来たのだ。まあ、所謂[道場破り]って奴だ。
 ・・・でもよ、最近ある意味恒例行事と化しているんだよなぁー此。まあ、俺にとっちゃあ、木場はつぇーから、練習相手になって良いんだけどな。
 まあ、そんなこんなで試合をしているんだが、木場、改めて言うが強いな。まあ、この一言に尽きるな。剣道部の女子があっという間にやられてんだ。ここの女子たちは、さすがに俺程じゃないが普通に強い。それにもかかわらずだ、多少戯れるものの、最後は余裕で打ち取っている。
 俺が力を使わなかったら多分同等か少し下の実力は持っていると思う。
 そして、狒々が討ち取られて、次に俺の番が回って来て、今に至るわけだ。
 ちなみに、こいつとやり合うのは今日が初めてだ。狒々は何度もやってるみたいだが。
 俺は基本、部活動をサボって、この世界で生まれた町を練り歩き、そこらへんの食堂で無銭飲食をするのが日課である。
 どうやら能力は前世と変わらず健在らしい。オマケに神器という能力まで追加されていた。ちなみに神器はちゃっかり使いこなしていたりするんだな〜此が。
 まあ、神器の説明や能力は後回しにして、今、俺は竹刀を肩に担ぎ、右目を瞑って気軽に構える。

「随分と余裕何だね。」

木場が俺の構えを見て少し喜びに満ちた面で聞いてくる。

「ん?、まあな。ああ、そうそう手加減は無しで行くぜ」

俺はそういうとケラっと軽く笑う。

「うん、僕は構わないよ。寧ろ本気でやり合いたいね。」

木場は闘志に満ちた笑みを見せる。

「ああ、そうかい。なら、遠慮はいらねぇな。・・・そんじゃ、行くぜ!?」

「ああ、いつでも良いよ。」

木場がそう言った後、

「始めっ!!!!!」

と、審判役の女子生徒が試合開始の合図を告げる。
と、同時に俺と木場は床を同時に蹴る。
 そして、互いに竹刀を素早く振り、竹刀と竹刀が俺の目の前で交差するようにぶつかり、竹の乾いた音が当たりに響く。
 俺はぶつかった相手の竹刀を自分の竹刀で弾くと素早く木場と距離を取るため後ろに飛ぶが、木場はこれを好奇と見て、追撃を掛けるべく俺との距離を一気に縮め、胴を狙って来るが俺はすかさず反応し、竹刀を立ててそれをガードする。
 しかし、木場の攻撃はそれだけでは収まらず、次々と木場の剣撃が俺に襲いかかる。

「おっと、よっと、おおっとっとっと、あぶねぇ〜。やるじゃねぇか。」

俺は木場の剣撃を身体を逸らしたり、竹刀で受け流したりしながら、かわしていた。

「それはどうも、・・・それっ」

木場は何故か嬉しそうに応え、剣撃を繰り出す。
 だが、剣撃を俺はギリギリにかわし、最小限の動きで木場に接近し、軽く胴の部分に竹刀を当て、木場の横を通り過ぎた。それと同時に「胴!!」と、俺は普通の音量で言った。

「胴有り!!」

審判の女子生徒が大きい声で言うと、黄色い声が道場で響く。

「キャーッ、木場君が負けたー。」

「そんな〜、木場君が負けるなんて・・・」

「何者なの・・・あいつ?。」

「剣道部にあんな人、居たっけ?」

「え?、居たわよ、・・・でも、あまり部活に参加してないんじゃなかった?」

「そうよね、確かに、あまり見ないわ。」

それぞれがそんな話題を話す中、木場が俺に近づいて来て、

「悔しいけど、僕の負けだ。
また今度、試合してくれるかな?」

と、木場が俺に握手を求めながら申し込んで来た。
 俺は木場が差し出された手を握り握手を返すと、

「ああ、良いぜ。何時でも相手になってやらぁ。・・・んじゃあな。また会おうぜ。木場。」

そう俺は言って、借りた竹刀を近くにいた女子部員に渡して道場入口に向かう。

「あ、そうだ、君の名前はなんて言うのかな。僕は、木場祐斗。」

と、不意に話しかけて俺名を聞く。
 まあ、名前まで隠す必要はねぇか。

「俺ぁ、奴良鯉判って言うんだ。宜しくな。」

と、俺はそう言うとカラッと笑い今度こそ、道場を後にした。
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