小説
□ツイスター☆パニック
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突然だが、みんなツイスターゲームと言うものはご存知だろうか?
赤や青など様々な色が丸で描かれた一枚のシートを使って遊ぶゲームの事だ
ルールは簡単
1.まず実際に参加する人を数人決めて、その後お題を出す人を決める
2.お題を出す人はルーレットや付属のカードなどで決まったお題を言う。例えば『右手を青に置く』とかな。因みに同じ色がいくつも用意されているところがミソだ
3.これを繰り返していき最後までお題を守れた奴が勝者となる
パーティグッズとしてはそこそこ知名度もあるであろう
大抵の場合は男女が入り混じって遊び、その際起こりうるハプニングを楽しむというなんとも思春期の方々の心の保養を考えて作り出されたゲームなのである
…で、何故オレがこんな話をしているのかというと…
「キョン!今日は不思議探索は流石に天気が悪すぎるから中止だけど、変わりにスッゴイ事思いついたから!今すぐ有希の家に集合ねっ!」
珍しく休日に早起きできたオレは、窓にこれでもかと激突してくる雨粒特攻隊を見て、今日は不思議探索も流石に中止だろうなと思っていた
そのタイミングでハルヒからの電話
ほらきた
探索中止の電話だ
そういう考えで通話を開始したオレの耳に、上記のセリフが飛び込んで来たのである
どうやらまだまだ一般人のオレにはハルヒの思考回路は理解出来ないようだ
ブツン!
とりあえず思いつく限りのツッコミを入れようとしたら、ハルヒのやつ電話をぶちぎりやがった
くそ、忌々しいね
因みに思いつく限りのツッコミとは以下の通りだ
1.スッゴイことってなんだね?
2.長門の家を使う許可はとってあるんだろうな?
3.結局外出することに関してYOUはどう思う?
とまぁこんな感じか?
これが谷口からの連絡ならば気軽にシカトをかませるのだが、如何せん相手はあのハルヒである
無視して後で閉鎖空間に閉じ込められるなんてオレは絶対に嫌だ
つまり、選択肢は1つしかない
ほんとにやれやれだぜ…
傘を差して自転車は流石に危ないので普段滅多に使わんレインコートを引っ張り出して袖を通してみる
サイズ的には問題ないのでオレはもう一度ため息をつきながら自転車に乗り込んだ
ザーザーという擬音語が正に相応しい大雨の中、ろくに前も見えず目を細めて自転車を漕ぐ
…ほんとにオレはなにやってんだろうな
ぶつぶつと誰にも聞こえない文句を言いながらもオレは着々と目的地に近づいていたらしく、何とか視界に長門のマンションが見えてきた
自転車をとめエントランスに入ってレインコートを脱いでやっと一息つく
これでハルヒの思いつきがまた外出系ならばオレは全身全霊をもって食い止めなければならない
しかもあいつの機嫌を損ねないように
こんな理不尽な事ってあるかよ?
わざわざ長門の家に集合をかけるくらいだからそれは無いと思うのだが、相手がハルヒである以上残念ながら絶対とは言い切れないのである
長門の部屋番を1つ押すたびに溜め息がでるね
ガチャ
「……………」
「長門か?ハルヒから大至急お前の家に行けって言われたんだか…」
「…わかった」
とりあえず入り口は開けてもらったので、エレベーターに乗り込み7階を目指す
しっかしこいつの家に来るのも何回目だろうな
同学年の女子。しかも長門のような美少女にはできれば個人的な理由でお呼ばれしたいものである
…いかん。もう疲れてるぞオレ。思考があらぬ方向に向かっている
一度深呼吸し、インターホンに手を伸ばす
ピガチャ!
「…………」
…いくら何でも開けるの早すぎるぞ長門よ
何故か長門の今の行動にデジャヴを感じたが、きっと平行世界かなんかでこんな事があったのだろう
例の夏休みみたいな事態になってないことを切に願わずにはいられんね