小説

□長門有希の危機
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私の名前は長門有希
対有機生命体コンタクト用に情報統合思念体が3年前ぐらいに産み出したヒューマノイドインターフェースである

簡単に纏めると見た目はJkしかし年齢は幼稚園生以下で秘めたる能力は未知数の女の子だ
…果たしてこの設定に需要はあるのだろうか?
私は時々疑問に思う
………
申し訳ない。話が逸れた

今、放課後の学校内で現在進行形で私に危機が迫っているというのに

人生3年目にして究極のピンチなのだ

朝倉涼子との戦闘や朝比奈みくるのビームや天蓋領域からの攻撃などこれに比べたら月とすっぽんぽん…

間違えた
月とすっぽんである

私が今すっぽんぽんだから間違えたのだ

決して国語が苦手な訳ではない

勘違いしないで欲しい

「おーい長門ー!何処にいるんだー!」

あぁ、『愛しの彼』の声にも、その彼がほぼ毎日訪れている教室の掃除ロッカーに隠れている今の私は返事をする訳にはいかな…

エラー発生エラー発生

今のは言語の誤爆というやつである

決して私の本音が洩れたわけではない

勘違いしないで欲しい

因みに何の関係もないが…ほんとーに関係ないが、彼が今週掃除当番で箒担当という情報はすでに把握済み

私は情報操作だけでなく情報収集も得意なのだ
情報提供者の谷…何とかという彼の友人には報酬としてmikuruフォルダのコピーを寄贈した
朝比奈みくる本人はこの事を知らないだろうが問題はない
あれだけの反則級胸部を持っているのだから他人に少し見せるぐらいがちょうどいいのだ
それにしても何をどうすればあれだけ胸を大きくでき…

…ふぅ…エラー発生エラー発生

本当に情報統合思念体は何をしているのだ
インターフェースにこれだけエラーが発生していると言うのに

私は抱きしめていた箒に更に力を込める

…箒を抱きしめた事と彼の掃除当番の件に関しては何の因果関係もない

勘違いしないで欲しい

ただ、すっぽんぽんの寒さを紛らわしたかっただけである

…念の為、長門有希にツンデレ属性は無いことをここに明記しておく
本当に無い

信じて

あの属性を持っているのは観測対象のカチェーシャつけた無駄にプロポーションがいい女性だけで十分だ

…しかしあのスタイルには同じ女性として憧れるものがあ…

…あー…エラー発生エラー発生
今日はエラーも多い

無事に帰宅出来たら情報統合思念体にくそったれと伝える事にする

…それにしても何故こんな事になってしまったのだろうか?

…始まりは今日の昼休みにまで遡る…

私にとってはまるで意味を為さない高校の午前授業を終え、早速部室へと向かうべく席を立つ

昼食もそこでとる予定なので問題ない

だが、部室に行く前に彼の教室をチラ見することは忘れずに行う

…もちろん観測対象である涼宮ハルヒがいつも通り購買に行っていて教室にいないであろうことを確認するためであり、決して彼の様子が気になる訳ではない

勘違いしないで欲しい

それに、今日もしも私が彼の教室を訪れていなければ、今こうして過去の回想を述べる事も出来ていなかったかもしれないのだ

さり気なく教室を覗き込む
堂々と入り口前に突っ立っていては優しい彼の事だ
気付かれて以下のような会話になってしまうかもしれない


『あれ?どうした長門?もしかして俺に会いに来てくれたのか?』

『そう』

『そうか!じゃーほら。こっちに来いよ』

『分かった』

『何か食べたいものあるか?俺の弁当でよかったら少し分けてやるぞ』

『…いいの?』

『あぁもちろん。他ならぬ長門の為なら俺は命だって投げ出す覚悟があるからな』

『…ありがとう。その気持ちは凄く嬉しい…けど、命を投げ出すのは止めて。私にとってあなたを失うこと以上に辛いことはない』

『長門…分かった。お前の言うとおりにするよ』

『…(コクン)』

『さて、それじゃーお前は何が食いたいんだ?』

『…これ』

『おいおい。その唐揚げは俺の食べかけだぞ?こっちの手を付けてないやつに…』

『これがいい』

『そうか?まぁ、お前がそこまで言うなら…ほら、アーン』

『…あーん』


…………
……

やはり教室の前に堂々と立っていた方が良かったかもしれない

「なぁキョンよ」

私に彼の掃除当番の件で情報提供してくれた………名前はもう一文字も思い出せないが彼の友人が話を切り出した

…聴覚に固有指向性音波情報収集能力を付加する
彼の会話内容は一字一句聞き漏らしてはならない
細心の注意を向けた

「なんだ谷口?」

「お前の大好物って唐揚げなのか?」

どうやら彼の弁当には私の妄想…いや、想像通り唐揚げが入っていたようだ

…何故私は教室の前に堂々と立っていなかったのだ
朝比奈みくるに頼めば過去を変えてくれるだろうか?

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