短編小説

□食事は許可を取ってから
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政宗がこの家に来たのは約一週間前のこと






たぶんその日は随分と疲れていたんだと思う






電車を乗り継ぎ駅を出て10分ほど徒歩で歩いて家へと帰る






「あんのハゲ部長め次々と仕事こっちに押しつけやがって」





などという日頃の仕事のストレスでついつい愚痴をこぼしてしまう







がちゃ







暗闇の部屋へと足を進め電気をつけるためにスイッチを手さぐりで探しだす





カチッ






やっとのことでスイッチを見つけ出しOFFからONに切り替えるすると
真っ暗だった部屋が一気に明るくなり周りの物がくっきりとはっきり見えるようになった






鞄をソファに投げて冷蔵庫からビールとつまみを取り出す今日の至福のひと時だ
ソファに腰掛けてプルタブルのフタを開けるとプシュと小気味のいい音が聞こえ喉が渇きを訴えている





ゴクゴク






「ぷはぁ〜っ!!うまー!!」





我ながらオヤジ臭いなと自分でも思ってしまい苦笑になってしまう






「はあ〜また明日から仕事か....」





仕事の事を考え憂欝な気分にしたっていると
寝室のほうから不意にガサゴソと不審な物音が聞こえてきた






「んっ.....なによ??」





日々の仕事の疲れからか急激な眠気が襲ってきた






今にも朦朧とし瞼を閉じそうな自分の目を心の中で一喝して、寝室へと足を向ける





――――泥棒?いやでも、この家に盗むような物なんてないしたかが知れてると思うんだけど





田舎から上京し都会に来て早2ヶ月独り暮らしを始め
悲しいかな25にもなっていまだに彼氏という彼氏もおらず家で独り寂しくビールを飲んで
至福を得ている自分って一体どうなのだろうか?





そんな憂欝な気持ちを切り替え玄関から持ってきた玄関やベランダ用の小さなホウキを両手に持ち
寝室のドアを少しずつ開き警戒しながら覗き込む辺りは自分しかおらず物静かで緊迫した空気が辺りを包み込む





するとそこには自分用の大きくもなく小さくもないベットに外科用の眼帯を右目に付け
スーツを着こなしている二枚目の青年がベットで寝息をたてながら眠りこけていた






「............だれ???」






こんなイケメンな青年は自分の知り合いにはいないはずだ
しかもどうやってここに忍びこんできたんだ??鍵は全部締め切っていたはずなのに






青年に恐る恐る近寄り身体を揺さぶる





「おーい起きてよ青年くん」





何故か自分の中には恐怖心はなくそれはただ青年がイケメンだからなのか
それともお酒が回ってるからなのか







「おーいってば!!青年く......んっ..........おわっ!!??」




ボフンッ!!




いきなり腕を掴まれ物凄い力で引き寄せられたそのおかげで色気もクソもない
悲鳴をあげてベットへと沈んでしまった
私達の今の体勢は私が下から青年くんを見上げる形になっていて、必然的に青年くんは
私を上から見降ろしている形になる




「んっ......なに??」





「城ヶ崎風香ってのはお前のことか?」





「......そうだけど青年くんは誰なのよ??」





「そうかお前が...じゃあ早速いただくとするか」




「はぁ???」




いきなり近づいてきた顔に驚いて、反射的に目を瞑ると





カプッ





「なっ!!??.........っっ!!!!」





可愛らしい音とはまったくの真逆で牙で首筋に咬みついてきた力は結構強い





ちゅーちゅーちゅー





今の自分の頭の中は吸血鬼は存在したのかとか空想の生き物かと思っていたとか
そんなことを考えてる暇はなく状況が把握できてないため放心状態で身体が固まってしまい青年のされるがままとなっている





すると血を飲んでいた青年がピタリと血を吸うのやめて驚愕に目を見開いている






だが数秒してからまた吸い始めた今度はぢゅーぢゅーと勢いよく吸われそれはまるで
大好物を目の前にしたような感じの吸い方だ





――――はっ!!!!




やっとのこと意識が戻ってきて青年くんを止めようと身体を押し返そうとすると
いきなり青年くんが喋り出した




「んぁっ.........なんだこのBloodのTasteは今まで飲んだことがねぇぞ」





青年くんは頬を赤く染めて恍惚の表情をしているそれが何だか凄く妖艶に見えた





「SweetでDeliciousだな」




そう言うとまた血を吸うのを開始し始めた




――――だめだ!!このままじゃ青年くんに流されてしまう、どうにかしないと!!





「っっ!!!!..........いっ..............いい加減にしなさぁぁぁああああああい!!!!!!!!!!」








バッチ――――ン!!!!!























ブス― (今こんな顔してます)→<(`^´)>







あの後青年くんに私はおもいっきりビンタをかましてしまった
そのおかげで青年くんは、たいそう機嫌をそこねてしまい顔には真っ赤な手形の痕が残ってる
だがこちらも悪気があって叩いたわけではないからこれは立派な正等防衛だ








「あの....これもしよかったら使って」






叩いてしまった詫びに腫れが引くように氷を入れた袋にタオルを巻いたやつを青年くんに渡す




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