*本編*【立海】

□-最終章-*END2*
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ようやく病院にたどり着いた一行は、急いで幸村の病室へと向かう。



だが、すでに遅し。




ちょっと前にオペ室へと向かったと、ちょうど鉢合わせた看護師から言われた。


梓を除いたメンバーはそのままオペ室へと向かったが、梓は1人誰もいなくなった幸村の病室へと足を踏み入れていた。



ただ、大人しく幸村の手術が終わるのを待つことを耐えれる自信がなかったのだ。



しかし、1人でいる方が心細く、気を抜いたら張り詰めていたものが切れる気がする。



しばらく、無人となった病室内を無意味にうろうろしていた。



が、




やはり皆と一緒にいようと思い直し、誰もいない病室を出ようとしたとき、ふと幸村のベッドの上に何かが乗っているのに気づいた。



なにやら四角い、紙のようなものだ…



梓は何となく気になりべッドの上のそれを手にとった。



「………!」



それは、1枚の写真だった。



その写真には2人の男の子と1人の女の子が写っていた。



女の子の方は、恥ずかしそうに遠慮がちにピースをしている。



一方、その女の子の両側に立つ男の子は2人ともに対照的である。



1人は、口元に柔らかい笑みをたたえ、女の子に寄り添うように写っている。



もう1人は、ムスッとした表情を浮かべながらもその視線はしっかりとカメラを見据えている。



そして彼らの真横には、『立海大付属中等部入学式』と看板が立て掛けてあり、背後には立海大の校門が写っていた。




この写真は紛れもない、梓達の中等部の入学式の時に撮影されたものである。



その証拠に3人の左胸には紙で作られた花がつけられている。




この写真には、彼女にも十分に見覚えがあった。




なぜならば、彼女の父親が記念にと頑なに拒む真田を、半ば強引に説得させ撮影したものだ。



真田がカメラ目線である唯一の写真であったため、梓の家にも丁重に写真立てで飾られている。




確か、父親が幸村家と真田家の分も焼き増ししたはずだ。



だから、幸村も持っていたのだろう。




それにしても…………





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