*本編*【立海】

□-最終章-*END2*
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「…精ちゃん……」





この写真をきっと、手術が始まる時間だと看護師に呼ばれるまで、ずっと見ていたのだろう。




たった1人きりで……




こんなにも写真に手の跡がシワとして残るぐらい




強く、強く、強く




握りしめていたのだろう。



精ちゃん……




きっと、寂しかったよね。



1人で心細かったよね。




傍にいてあげれなくてごめんね。





梓は視界が涙で歪んでいく中、写真の中の、何の曇りもない、輝ける彼自身のこれからの未来に期待で満ち溢れている少年を指でなぞる。





精ちゃんは、この写真に映る自分を見て、




一体何を思い




一体何を感じたのだろうか。




何もしてあげることができない自分が悔しい。




彼の痛みを、苦しみを自分が少しでも分かち合うことができるのならば……



いや、彼を蝕む病の全てを自分が代わってあげることができたらどんなにいいか。



こんなにも輝かしい未来のある彼の命をも脅かすなんて、残酷にも程がある。




―神様、どうかお願いします。



精ちゃんを……




精ちゃんをどうか助けてください。




彼から、テニスを奪わないで…………!!!





彼女はただ祈ることしかできなかた。




今の彼女には、幸村精市の奇跡を信じることしかできないのだから。






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