*本編*【立海】

□-最終章-*END2*
5ページ/5ページ




柳生「おや、柿原さん。今までどちらにいらしたのですか?」



幸村の手術が始まっておよそ1時間が経とうとしていた。



いまだ、『手術中』のランプは赤く点灯しているままだ。



ようやく、手術室の前に姿を現した梓に柳生が尋ねる。




「……桑原君、まだ弦一郎達来てないみたいだけどまだ試合が続いてるの?」



梓は柳生の問いには答えず、うつむき加減で椅子に座っているジャッカルに、嫌な予感を覚えつつも尋ねた。




「………ああ、それがな…」



言いにくそうに言葉を濁すジャッカル。




他のメンバーの表情も何だか固い。




「……もしかして、切原君も負けたの?」



ジャッカル「……ああ、この試合も接戦だったらしいが。なんせ、相手は青学の天才不二周助だ。負けちまったみたいだな……」



「……そっか……」



見事に嫌な予感は的中した。



そうなると、今はシングルス1の試合が行われているのだろう。



まさかの、決勝戦の長引きに真田も気が気ではないはずだ。



真田の立場になって考えるとキリリと胸が痛む。




仁王「マネージャー、そんな情けない顔しなさんなって……大丈夫じゃ、真田のことじゃ。最初から真っ向勝負で試合にケリをつけるじゃろう。」



梓の頭に、ポンと手が置かれる。



仁王「心配しなさんな。真田が負けたとこ1度でも見たことがあるかのう?……柳生?」



柳生「………正直に申し上げますと、何度か。まあ、相手は全て幸村君でしたが。」



柳生がメガネをクイッと押し上げ、仁王の予想に反した答えを返す。



仁王「…………聞いた相手が悪かったのう。ったく、紳士の名が聞いてあきれるぜよ。」



最後の言葉は梓のみに聞こえるよう小声で言い、非難のこもった目で柳生を一瞥した後、長椅子に腰を下ろした。



励ましてくれたのだろう仁王に対し、一度微笑みを向け、梓も長椅子に腰を下ろす。



どうか、頑張って弦一郎!!



1人で、王者立海を背負い戦っている幼馴染みのことを思う。



必ず優勝して、精ちゃんとの約束を果たして………!





前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ