*本編*【立海】
□-最終章-*END2*
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柳生「おや、柿原さん。今までどちらにいらしたのですか?」
幸村の手術が始まっておよそ1時間が経とうとしていた。
いまだ、『手術中』のランプは赤く点灯しているままだ。
ようやく、手術室の前に姿を現した梓に柳生が尋ねる。
「……桑原君、まだ弦一郎達来てないみたいだけどまだ試合が続いてるの?」
梓は柳生の問いには答えず、うつむき加減で椅子に座っているジャッカルに、嫌な予感を覚えつつも尋ねた。
「………ああ、それがな…」
言いにくそうに言葉を濁すジャッカル。
他のメンバーの表情も何だか固い。
「……もしかして、切原君も負けたの?」
ジャッカル「……ああ、この試合も接戦だったらしいが。なんせ、相手は青学の天才不二周助だ。負けちまったみたいだな……」
「……そっか……」
見事に嫌な予感は的中した。
そうなると、今はシングルス1の試合が行われているのだろう。
まさかの、決勝戦の長引きに真田も気が気ではないはずだ。
真田の立場になって考えるとキリリと胸が痛む。
仁王「マネージャー、そんな情けない顔しなさんなって……大丈夫じゃ、真田のことじゃ。最初から真っ向勝負で試合にケリをつけるじゃろう。」
梓の頭に、ポンと手が置かれる。
仁王「心配しなさんな。真田が負けたとこ1度でも見たことがあるかのう?……柳生?」
柳生「………正直に申し上げますと、何度か。まあ、相手は全て幸村君でしたが。」
柳生がメガネをクイッと押し上げ、仁王の予想に反した答えを返す。
仁王「…………聞いた相手が悪かったのう。ったく、紳士の名が聞いてあきれるぜよ。」
最後の言葉は梓のみに聞こえるよう小声で言い、非難のこもった目で柳生を一瞥した後、長椅子に腰を下ろした。
励ましてくれたのだろう仁王に対し、一度微笑みを向け、梓も長椅子に腰を下ろす。
どうか、頑張って弦一郎!!
1人で、王者立海を背負い戦っている幼馴染みのことを思う。
必ず優勝して、精ちゃんとの約束を果たして………!
…