*本編*【立海】
□-第4章-
1ページ/9ページ
関東大会を翌日に控えた土曜日
時刻は、午前10時5分前である。
私服姿の学生や家族連れなどが多く行き交うなか、○○駅の前で、妙にそわそわと落ち着きがない若者が1人。
かれこれ30分以上前から同じ場所にいる。
彼の表情は緊張で強張っており、誰かと待ち合わせをしているのか頻りに腕時計を見ている。
相手の了承も得ずに、月曜日の朝、教室で一方的に曜日と時間と待ち合わせ場所をまくし立てた丸井ブン太は、待ち合わせ相手が来てくれるのか不安になっていた。
――あれから、オレも向こうもこの話題には触れてなかったからなーせめて昨日の夜、確認のメールだけでも送れば良かったかも…――
と、マイナスなことばかりを考えていると少し離れたところから「丸井くーん」と、自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
見ると、待ち合わせ相手の梓が手をブンブン振りながらこちらに走ってくる。
「ハァ、ハァ…ごめんね〜待ったよね〜」
途中から全力疾走してきた梓は、前屈みになって呼吸を整えている。
丸井「………………。」
「……どうしたの丸井君?」
何も反応を返さない丸井を不審に思い梓は訊ねた。
…