龍の半身

□恐れていた日
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梵と私が4歳になった歳。
その日はとてもだるかった。
体が重く、体の節々がじんじんする。


それは自分ではなく、梵が原因だとすぐにわかった。


きっと高熱を出しているのだろう。
ただの高熱であればいい。
そう思った。
だが、私は嫌な予感がして胸騒ぎが治まらなかった。


「姫様…」


「す、ず…」


「お加減は?何か私にできることは…」


私たちは、傷の痛みや以外に、病のだるさや、疲れ、休息も共有する。
その三つは全く同じに共有するようで、私がずっと離れで休んでいても、梵が母屋でやんちゃすると、凄い疲れる。


梵は病と闘って疲れているのだろう。
実際私も疲れとだるさであまり動けない。
私も一緒に休息をとることで、梵の治りも早くなるかもしれない。


本当は今すぐにでも梵の所へ駆けて行きたい。
でも、体が言うことを聞かない。


「大丈夫…。はぁ、…梵のほうが…辛いだろうから…」


「梵天丸様ですが…」


「知ってるよ。疱瘡でしょ?」


そう言うと、鈴はびくっとなった。


「鈴、あそこの棚の中の…」


鈴は棚に向い、引き出しを開ける。


「これですか?」


見せてきたのは手のひらに納まる程の巾着袋。


「それを、梵に…」


なるべく秘密裏に。


中身は小さなガラス玉だ。


早く良くなるようにという精一杯の祈りを込めた。


「必ずや、梵天丸様にお届けいたします」


鈴のその言葉を最後に意識を手放した。
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