龍の半身
□恐れていた日
1ページ/4ページ
梵と私が4歳になった歳。
その日はとてもだるかった。
体が重く、体の節々がじんじんする。
それは自分ではなく、梵が原因だとすぐにわかった。
きっと高熱を出しているのだろう。
ただの高熱であればいい。
そう思った。
だが、私は嫌な予感がして胸騒ぎが治まらなかった。
「姫様…」
「す、ず…」
「お加減は?何か私にできることは…」
私たちは、傷の痛みや以外に、病のだるさや、疲れ、休息も共有する。
その三つは全く同じに共有するようで、私がずっと離れで休んでいても、梵が母屋でやんちゃすると、凄い疲れる。
梵は病と闘って疲れているのだろう。
実際私も疲れとだるさであまり動けない。
私も一緒に休息をとることで、梵の治りも早くなるかもしれない。
本当は今すぐにでも梵の所へ駆けて行きたい。
でも、体が言うことを聞かない。
「大丈夫…。はぁ、…梵のほうが…辛いだろうから…」
「梵天丸様ですが…」
「知ってるよ。疱瘡でしょ?」
そう言うと、鈴はびくっとなった。
「鈴、あそこの棚の中の…」
鈴は棚に向い、引き出しを開ける。
「これですか?」
見せてきたのは手のひらに納まる程の巾着袋。
「それを、梵に…」
なるべく秘密裏に。
中身は小さなガラス玉だ。
早く良くなるようにという精一杯の祈りを込めた。
「必ずや、梵天丸様にお届けいたします」
鈴のその言葉を最後に意識を手放した。