龍の半身
□あの日からの変化
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あの日から梵は明るくなった。
小十郎との鍛錬にも精を出していると聞いている。
私と梵の右目には御揃いの眼帯。
不謹慎だが、少し嬉しくも思う。
「父上、お願いがあるのです」
「ん?何だい?」
「私に戦う術を教えてください」
そう言うと、心底ビックリしたようで、父上は数秒間フリーズしていた。
「そう…だね。鈴だけではきっと桜を守りきれないだろうからね。桜も自分を守る術を身に付けなくてはね。小十郎に頼んでみようか」
「えっ!小十郎ですか?でも、小十郎は梵を…」
梵を指導しているため、それなりに疲れるのではないだろうか?
「じゃあ、梵と一緒にここですればいい」
「で、でも…。それじゃ梵の邪魔に…」
「大丈夫だよ。梵だって急いでるわけではないんだ。それに私は桜はとても素質があると思うよ。なあ、俊太」
「なぅ(はい)」
父上の膝の上で寝転がってる俊太さんが返事をする。
結局早ければ次の日からご指南いただけることになった。
「うん、明日から打ち込めるように今日のうちに基礎をやっておこう」
そう言った父上は短刀を抜き、私に手渡した。
「えっ、し、真剣ですか?」
「そうだよ、あ、明日はちゃんと竹刀でやってもらうから安心して」
この父は時々ぶっ飛んでると思った昼下がり…。