Love alone

□似たもの同士
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そういうと自販機にお金をいれてお茶とオレンジジュースを買う女の子。


「2本飲むの?」


不思議に思った俺は普通に聞く。



「違うに決まってんだろ、馬鹿。」


そういった時の横顔が、
今でも俺の脳裏に張り付いて離れない。


「弟の分。・・・死んだ、弟の。」


悲しいのに、無理して笑うように。
寂しさを怒りでごまかすように。


「・・・ふぅん・・・」


なぜかは、わからないけど。
自分だってそうしてるくせに、偉そうに注意なんかしたんだ。


「あんまり感情を殺さないようにね?」


いつものようににっこり笑って、
背を向けた女の子に向かっていった。


「はぁ?」

一度見えなくなった目が、もう一度俺を捕らえる。
その表情は、嫌悪しているように見えた。


「笑ってねぇお前に言われたくねぇよ。」


そういって、俺に背を向けて歩いていく。


「・・・え?」


笑えてたはずだ。
きっと、何時も通り完璧に。


俺は何もできず、ただその場に立ち尽くしていた。















女の子って、わからないな・・・


「ねぇ、狗家くんっ」
「ん?なぁに?」


話しかけてきたのは、クラスの女の子。


「先輩が、呼んでるよ?」


指差されたほうを見ると、三年生の、結構派手で有名な先輩がいた。


「あぁ、ありがとう。」


にこっと笑って、席を立った。



こう呼び出されるのは、珍しくない。
いつも笑ってるし、気は使えるほうだからモテないわけじゃない。


「あの、私、あなたのことが好きなの。」


この先輩は確か、同じ生徒会の人。
興味ないし、名前も知らない。


「すみません、俺・・・好きな子いるんで。」


好きな子なんていない。
結局、友達も恋人も代わらない気がするし。

女の子が裏で彼氏の悪口言ってるの聞いたことあるし。


「そっか・・・」
「はい・・・すみません。」


上手く流して、力を抜いて。

俺は上手く生きる。




―――笑ってねぇお前に言われたくねぇよ



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