Love alone

□似たもの同士
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やわらかい日差し。
いつもと変わらない日の、いつもと変わらない光景。


「・・・あれ?」


自動販売機の前。
何人かの男が輪を作っている。


「んー・・・?」


関係ないか、そう思い通り過ぎようとするが
輪の真ん中にいた子に、俺の視線は釘付けになった。


「あっ・・・」


真っ黒な瞳は、何も写してなくて。
言えば、死んだ魚のような。


「なー、なーにしてんのー?」


バッと振り向く男子たち。
いくつか見たこのある顔もあることから、たぶん友達なんだろう。


「狗家!」
「よっ!
 で、何してんの?」


「コイツが悪ぃんだよっ!
 俺たちが何飲むか盛り上がってたらいきなり蹴られたしよ!」


そういって俺にお尻を向ける男。
確かに、白い靴底の後がついている。


「だからって大人数で囲むか?
 女の子でしょー」


俺の高校とは違う高校の制服だから
たぶん他校の子なんだろう。

ってか、この制服って・・・


「聖桃大学付属中の制服じゃね?」
「えっ・・・中学生!?」


目の前の女の子は大人数に怯えることもなく、
男を睨み続けている。


「ま、中学生の、しかも女の子に蹴られたくらいでいいじゃん!
 高校生の寛大さを見せてやれって」


笑顔を浮かべて男たちをなだめる。


「チッ・・・」


思いっきり聞こえた舌打ち。


「ほーら、いきな!
 女子中学生を囲んだことは黙っててやるから!」


男たちを学校に行くように促し、渋々向かう男たちを見送った。


「さて、君も学校いきな〜?
 あんまり喧嘩っ早いことしないようにね。」

「助けろなんて言ってねぇし、大きなお世話。
 お前も邪魔、どっかいってくんない?」


ギッ
女の子は冷たい、死んだ目で俺を睨んだ。


「・・・あはは、言葉遣い悪いねぇ!
 俺初めてそんな事言われた!」
「うぜぇ。」


面白い子だと思った。
最初は、ほんとにただの興味。








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