その他ジャンル夢(羽哉)

□失恋と初恋
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親友であるヒナタと彼女の想い人であったナルトが結ばれたと聞いたのは、彼女が大変な任務から帰ってきて直後のことだった。

それはもう、自分でも吃驚するくらい舞い上がってしまって、気づけばその場でヒナタのことを思いっきり抱きしめていた。
今思えば、任務で疲れていたというのに、配慮が足りていなかったと思う…。


それから、ヒナタには十分休息をとってもらってから、改めて同期の女子みんなでお祝いをした。
途中からサプライズとして、同じくナルトの事をお祝いしていた男子たちと合流して、私達はこれでもかってくらいに2人を祝福した。



それから数日後のことだ。

ナルトからどうしてもと、記念すべき初デート――つまり今日という日に同行して貰えるよう頼まれたのは。

勿論、断った。…いや、正確には断ろうとした。でも、出来なかった。

何故なら、この計画の首謀者が…私よりも少しだけ、上手だったからだ――――






「ね、○○…今の私、どこも変じゃないかな……?」


そう言いながら、後ろや前を向いて自分の恰好を執拗に気にするヒナタを見て思わず心の中で苦笑いする。

ヒナタったら…もう同じ質問を三回も繰り返してる。
初めてのデートを目の前にして、緊張や心配で一杯一杯になるのは分かるけれど、これは何というかあまりにも…――


「心配しすぎだって、ヒナタはー!」

「で、でもっ…」

「大丈夫っ。どこも変なんかじゃないし、寧ろとっても似合ってて可愛いよ!」

「…!あ、有難う…○○」

「どういたしまして!…ふふ」


一層顔を赤めらせて俯くヒナタを見て、思わず笑いが込み上げてくる。

思えば、今日の日の為だけに、ヒナタはわざわざ服を新しく買い揃えたりしたのだ。
それなのに、似合わないわけがない…!


「○○も…似合ってるよ、とても」

「え?あ、ああ!あ、有難う…」


不意に自分の服装の話をされ、胸がドクンと跳ねる。

バレないように、何気なくいつもよりお洒落に力を入れたつもりだったのにな…。


「あー…なんか急に恥ずかしさが」

「ふふ…そういえば、○○も初めてデートするんだもんね」

「なっ、違っ…いや違わないけど、何ていうか今回のはぁ!!」

「お試しデート、だよね。うん、大丈夫。分かってるよ」


それなら良かった…。と、ほっと胸を撫で下ろす。
同時に、やっぱりこんな計画、引き受けるんじゃなかったと後悔した。

いくら親友の彼氏であるナルトの為とはいえ…あんな奴とデートしなきゃならないだなんて……。


「はぁ…」

「…? ○○、やっぱり今日のサイ君とのデート、本当はあまり行きたくないんじゃ…」

「、エッ?」


急にそんな事を言ったかと思えば、途端に申し訳無さそうな顔をしだしたヒナタを私は慌てて否定する。

違う!違うのヒナタ!!確かにサイなんかとデートするって考えたら、何ていうか乗り気には決してならないけれど――って、そうじゃなくて!!
これは親友であるあなたの為!そして友達であるナルトの為に私が勝手に一肌脱いでるだけだからっ


「ヒナタは全く気にしなくて良いの!」

「で、でも、」

「でももへちまもなし!って、あー!いつの間にかもうこんな時間!!ほら、早く行かないと遅刻しちゃうよ!!」

「えっ!?あ、うっうん」


そう言って、ヒナタの手をとり、走り出す。

…危ない危ない。危うく、ヒナタに余計な気遣いをさせるところだったや。
こんなんじゃ駄目だよね!不本意なことこの上ないけれど、やるからにはしっかりとやらないと!!



何より―――今日は記念すべき、2人の初デートなんだから!!
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