テニスの王子様【長編】
□第3話
2ページ/3ページ
「お疲れ様ですっ、宍戸さん」
「お、わりぃな」
休憩時間になって間もなく
大量のタオルと飲み物入りのボトルの入ったカゴを手に持ち、やって来た○○から、各ひとつずつ、それらを受け取った宍戸。
「はいっ、鳳君も」
「有難う。それにしても重そうだね…俺も持とうか?」
「あ、ううん!大丈夫!こう見えても力には自信が―あっ、向日さーん!!」
言っている途中にも関わらず、レギュラー陣の1人が目に入るなり、その人の元へと走って行った○○。
そんな○○を、2人は苦笑しながら見つめていた。
「ったく、忙しねぇ奴だな」
「ははっ、でも賑やかで良いじゃないですか」
「まあ、そうだけどよ…」
「おっ、わりぃな!」
「いえいえっ。ぁ、日吉君もっ」
「ああ…悪いな」
こうして、やっと空になったカゴを見て、嬉しそうに笑みを浮かべる○○。
だが実は、レギュラー陣全員に配ったわけでは無かった。
本当は、跡部さんにもお疲れ様です!って言って配りたいんだけど…
跡部さんには、もう先輩方が付いてるから、なぁ…
チラリと目を向けた○○の先には、跡部とその周りに集まる複数の先輩マネージャー達の姿があった。
跡部は別として、楽しそうに笑みを零す先輩マネージャー達。
そんな様子が酷く羨ましく思えた○○だったが、
相手は先輩の上に、自分はあくまでも新人であった為、ただそう思うだけでいた。