テニスの王子様【長編】

□第2.5話
1ページ/4ページ

「キャー!跡部様ー!」


「素敵ー!」


「こっち向いてー!!」



氷帝の生徒になって1週間が経過しようとしていた今日。

相変わらず、跡部さんの周りには、ファンのお姉様方や同い年の方でいっぱいだった。


これじゃあ、近づこうにも近づけないし…

アタックしようにも……無理だよね、うん。


だから私は考えた。

跡部さんがいるテニス部のマネージャーになって、少しでも自己アピール出来たらな…と。





「お嬢さん」


「?ああ、忍足さん」



放課後―

後ろから聞き覚えのある声が聞こえたので、もしかしたらと思い振り返れば、そこには忍足さんがいた。


忍足さんは、私が反応するなり、覚えててくれたんやな、と嬉しそうに微笑んだ。



「あはは、そんな呼び方をするのは、忍足さんくらいですからね」


「ああ、なるほどな…」


「―で、私に何か用事ですか?」


「ああ、せやった…ちょっと自分と話がしたいんやけど…時間、ええか?」


「構いませんが…忍足さん、部活は?」


「ああ、その事やったら、もう岳人の奴に頼んであるから大丈夫や」


「あ、そうですか」



なら良かった…と思わず笑みを零せば、忍足さんはふっと綻んで



「ほな、立ち話もなんやし…喫茶にでも移動しよか」


「喫茶…ですか?」


「食堂のある建物があるやろ?あの2階が喫茶スペースになっとるんや」


「へぇ、そうなんですかっ」



喫茶まであるなんて…やっぱり凄過ぎるよ、この学園……


時期に私もこれが常識に思える時がくるのかな…


そんな事を考えながら、私は、忍足さんと共に喫茶へと向かった――
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ