テニスの王子様【長編】
□第2.5話
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「キャー!跡部様ー!」
「素敵ー!」
「こっち向いてー!!」
氷帝の生徒になって1週間が経過しようとしていた今日。
相変わらず、跡部さんの周りには、ファンのお姉様方や同い年の方でいっぱいだった。
これじゃあ、近づこうにも近づけないし…
アタックしようにも……無理だよね、うん。
だから私は考えた。
跡部さんがいるテニス部のマネージャーになって、少しでも自己アピール出来たらな…と。
「お嬢さん」
「?ああ、忍足さん」
放課後―
後ろから聞き覚えのある声が聞こえたので、もしかしたらと思い振り返れば、そこには忍足さんがいた。
忍足さんは、私が反応するなり、覚えててくれたんやな、と嬉しそうに微笑んだ。
「あはは、そんな呼び方をするのは、忍足さんくらいですからね」
「ああ、なるほどな…」
「―で、私に何か用事ですか?」
「ああ、せやった…ちょっと自分と話がしたいんやけど…時間、ええか?」
「構いませんが…忍足さん、部活は?」
「ああ、その事やったら、もう岳人の奴に頼んであるから大丈夫や」
「あ、そうですか」
なら良かった…と思わず笑みを零せば、忍足さんはふっと綻んで
「ほな、立ち話もなんやし…喫茶にでも移動しよか」
「喫茶…ですか?」
「食堂のある建物があるやろ?あの2階が喫茶スペースになっとるんや」
「へぇ、そうなんですかっ」
喫茶まであるなんて…やっぱり凄過ぎるよ、この学園……
時期に私もこれが常識に思える時がくるのかな…
そんな事を考えながら、私は、忍足さんと共に喫茶へと向かった――