REBORN【羽哉】
□定期的なお相手を
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ある日の午後。
ようやく仕事を一段落終え、部下によって淹れられたブラックコーヒーを飲みながらつかの間の休憩をとっていると、事は起きた―――
「だーれだ?」
突然、後ろから両手で目隠しされたかと思えば、また後ろから聞こえるロマーリオの声。
俺は迷う事無く、平然と答える。
「…○○だろ?」
「ぇ!?す、すっごい…なんで分かったんです?」
俺の両肩に手を置いたかと思うと、驚いたような表情で俺の顔を覗く○○。
ついでにもう少し後ろを振り向けば、
「やっぱりバレたか。」とでも言いたげな様子で頭を掻きながらこちらを見つめるロマーリオの姿があった。
俺は視線を○○に戻し、そして手に持っていたコーヒーカップを意識させながら話した。
「ったく、コーヒーが零れたら危ねぇだろ?」
「ぇ?あ、ごめんなさい。全く気づかなかった…」
とは言っても、実はさほど気にしていないのだけれど…。
本当の所、先程からずっと、後ろから○○の気配を感じていたのだけれど…。
「ねぇ…なんで声はロマーリオさんだったのに、私だって分かったんです?」
「んー?それは……」
「おっと…じゃあ俺は、次の仕事の前にやっとかなきゃいけねぇーことがあるんで失礼するぜ、ボス」
俺が隠れて視線を送れば、流石は付き合いの長いロマーリオ。
すぐに気付いて、何かと理由を付けると早々に部屋を出て行った。
○○と2人っきりになると、俺は黙ってコーヒーカップを向かっていた机に置き、
刹那、肩に置かれていた手を掴み、そして少し力を入れて引っ張ってやった。
すると案の定、俺の膝の上にと仰向けになって倒れてきた○○は、
何が起きたかも分からない様子でただただ俺を見つめていた。
「大丈夫か?」
クッと喉を鳴らし、尋ねる。
「だ…大丈夫ですけど……何なんですか、急に...」
言いながら、起き上がって膝の上を降りようとしたので、俺は腰に手を巻いてそれを制止する。
先程と全く立場が逆になり、今度は俺の方が○○の顔を覗くことになった今、
少しの間は俺の手を振り解こうと抵抗していた○○もすぐに諦めて俺に向き直り―
「で…なんで分かったんです?」
と、話を本題に戻したので、
俺は未だ俺の手を握っていた○○の手を握り返して話を進めた。