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□君と僕の桜
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大きな大きな桜の木


君を見てると、まるで桜のように美しい


なんて、ベタすぎることを僕は思ってしまう


桜が満開に咲いている


君の笑顔も、いつも満開だ


なんて・・・少し、馬鹿げた事をも考えたり


******


「コホッコホッ」


咳が最近、ひどくなってきた


松本先生に言われた、結核


気づいてはいたんだ


自分自身が、結核なんだろうな、と言うこと


けれど、誰にも心配させたくない


だから誰にも言わないようにしようと思ったのに


なんで・・・彼女、


千鶴ちゃんにバレちゃったのかな


一番、知られたくなかった


一番、悲しみそうだったから


そして・・・


悲しませたくなかった


だって・・・


千鶴ちゃんは、僕が秘かに思いを寄せる子だから


彼女は、心が優しい子だ


誰に対しても、優しくて・・・


いつでも笑顔で頑張って


無理なことも弱音をはかずに頑張って


とにかくなんでも一生懸命な子で


僕は、そんな千鶴ちゃんだから好きなんだ


桜を見る


桜が、僕には少し恐怖を与えた


もうすぐあの桜も散る


そして───


僕ももうすぐ・・・


この桜のように、散る


なのに、今の僕は───


このまま、死にたくない


彼女、千鶴ちゃんに気持ちを伝えて死にたい


こんな事まで思ってしまっていた


僕は近藤さんのためにいて


近藤さんのために死ねば良いのに


僕は、そんなこと、望まなくても良いのに


僕の心は、僕の意思なんか聞きもしない


いつから、なんだろう


僕の頭が、千鶴ちゃんの事でいっぱいになってしまったのは


いろんな彼女を見てきた


だから、なのかな・・・


彼女が、僕の中の一番になってしまったのは


好きだ


たったこんだけの言葉も言えないほど、僕は弱い


千鶴ちゃんが僕じゃない誰かと喋っていると無償に胸が苦しくなる


今すぐ千鶴ちゃんを僕の元につれてきたくなる


それほどに、僕は弱い


だからって、千鶴ちゃんを諦めたくない


だって───


僕は、千鶴ちゃんが殺したいくらい、好き


・・・なんて


けれど、好きなんだ。


僕の部屋から見える桜


「あ」


僕はふと、名案を思い付いた


******


「ち、ちょっと、沖田さん!?」


困惑する千鶴ちゃんを引きずる


ついた場所は・・・・


「わぁ・・・・」


屯所で一番大きな桜が見える、縁側


「素敵・・・ありがとうございます!沖田さん!」


千鶴ちゃんはすごく喜んでくれた


よかった───


僕の心はそれでいっぱいになる


だって───僕は、桜が見たかったんじゃない


僕が見たかったのは、千鶴ちゃんの笑顔なのだから


もうすぐ、僕はここから散っていくんだ


けれど、それまでは


幸せを噛み締めたい


この、桜の下で────


いつでも、咲き誇る君の笑顔を見ながら


だから、どうか


いつまでも隣にいてほしいと、僕は願う


*end*



 

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