main

□好きだよ?
1ページ/1ページ




あの人が、よく言う言葉がある


『好きだよ?千鶴ちゃん』

笑顔でよく言うんだ


いつも、いつも言う


嬉しい


そりゃあ、もちろん、嬉しいよ


けど、けどね・・・・?


たまに、思うの


本当に?って


嘘じゃない?って


だって沖田さんはいつも笑ってるんだもん


私はいつも、不安になる


沖田さんに、聞きたくても聞けない質問


聞くのが怖い


嫌われたくないよ


だって・・・・


私は、沖田さんが大好きなんだもん


沖田さんがいるから、私がいる


沖田さんのために、私はいる


大好きな、沖田さん


貴方の『スキ』は───


本物ですか?


******


庭を歩き回る


理由なんかないけど、歩きたいから


今日は風がなくて、暖かい


久しぶりにこんなに暖かい風が吹くなんて


家事でもしようか


そんな事考えながら歩いていると


「千鶴ちゃんっ!!」


ギュッと後ろから誰かに抱きつかれた


「うわぁぁあっ!!!」


私はついつい大声で悲鳴をあげてしまった


「叫ぶなんて、酷いなぁ千鶴ちゃんは」


そう言ってニヤニヤと沖田さんは笑う


「もう・・・本当にやめてくださいよ。心臓とまっちゃうじゃないですか」


心臓が止まるのは驚いてだけじゃない


「千鶴ちゃん」


沖田さんが隣に来る


それだけで、ドキンとするなんて


「スキ」


また、笑いながらだ


「・・・沖田さん・・・」


私は、不安になる


「沖田さんは、本当に私の事好きですか?」


そう言うと沖田さんは目を見開いて驚いた


「千鶴ちゃん・・・・」


急に真顔になる


「千鶴ちゃんらしいね」


頭をポンポンと叩いた


くすぐったくて少し照れる


「な、何がですか!」


怒ったフリをすると沖田さんは急に私を抱き締めた


「お、沖田さっ───」


「好きだよ」


いつもと違う声だった


真剣な、声色


「千鶴ちゃんのこと、好きだよ。誰よりも。いつまでも一緒に居たいと思う。君とこの桜、見たいしね」


そう言って、沖田さんは丸裸の桜の木を見た


桜・・・・


沖田さんを見る


すると、沖田さんは優しく笑った


私はまた、沖田さんに体を預ける


寒さなんて、感じさせない


───沖田さんは、やっぱり・・・

微笑む私は、静かに


「私も、沖田さんが好きですよ。桜、春になったら見ましょうね?」


そう、言った


私の小さくも、大きな夢



 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ