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□恋と言うもの
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恋と言うものが


俺にはよくわからない


恋のしかたもよくわからない


とにかく人を好きになるということが俺にはよくわからないのだ


しかし、俺には人を好きになる資格はない


必要もないのだ


だから、気にもならないのだった


刀さえあれば・・・


俺は、何も要らない


そんなことを、ひたすら思う


******


「恋、か・・・」


咲き出した桜の木を見て、ふと思う


最近よく平助が恋について語るのだが


それは新八いわく恋してるからこそらしい


「恋、恋恋・・・」


ボソボソ呟きながら廊下を意味なく歩く


その時、ちょうど総司の部屋の前に差し掛かった


そのタイミングをよくして総司の部屋から出てきたものと当たってしまう


「っ・・・すまん」


そう言って謝ると、当たった人物があたふたしだす


見ると・・・やはりと言うべきか、彼女だった


「す、すみません斎藤さん!」


雪村千鶴。


新選組と共に父を探している少女だ。


その時、ひょこりと総司が出てきた


「千鶴ちゃん、お菓子あるから一緒にお話ししようよ」


そう言って手招きする総司


・・・なぜだろうか


そんな総司に、なにか感じる


彼女が総司に返事をしようとしたとき


つい、俺は彼女の腕をつかんだ


「さ、斎藤さん?」


彼女は不思議そうに俺を見る


なぜかわからない


自分だってわからないが・・・


彼女が総司といると嫌だった


「あんたが総司と居ては困る」


なにも考えずにそう言った


その場が静まる


「・・・・っプ」


笑ったのは総司だった


「あっははは!!は、一君・・・・それってさぁ、告白かなにか?」


総司が笑いながらこっちを見てきた


「告、白・・・?」


首をかしげると逆に総司は苦笑いした


「僕と千鶴ちゃんがいると困るんでしょ?」


そう言われて俺は自信満々に「あぁ」と答えた


その返事に千鶴も総司も困惑の表情を見せる


「なにゆえ、あんたも総司もそのような顔をするのだ?」


総司はため息をつきながら俺に言った


「あのね一君。それはね、嫉妬。恋してるんじゃないの?一君」


まったく、とあきれたような総司


「恋・・・?」


千鶴をまじまじとみる


「恋、俺が、恋・・・・?」


そうか、これが・・・・


「な・・・・なんで人の前でそういう話をするんですか!」


千鶴は顔を真っ赤にして叫んだ


「ふむ、そうか、これが恋か」


「一君は素直だね。まぁ千鶴ちゃんは渡さないけどね」


恋か・・・


うむ、気持ちのいいものだな


「もう・・・!!!」


***end***




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