Please Love Me

二年目の出会い
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「じゃあ、行ってくるね」





両親に見送られながら、汽車に乗る





「えぇ、気を付けて」






「元気でな」






笑顔で手を振る2人の瞳に、俺は映っていない





優しげな笑顔は、俺に向けられてはいない






全て、俺の隣にいる、リーマス・ルーピンに向けられているものだ





だんだんと小さくなる両親を見ながら、気持が重くなるのを感じていた






行きたくない





魔法なんて、学びたくない





そんな物、必要ないんだ





また、地獄のような1年がはじまると思うと、泣きそうになってくる






「…ルーカス」






冷たい声で呼ばれた自分の名前






振り向けば、声と同じ冷たい瞳でこっちを見ているリーマスがいた






自分と同じ、髪色で同じ親から一緒に生まれた彼






それでも、ここまで違う2人






それは、双子といっても二卵性のせいなのか、それとも、彼がグリフィンドールで自分がスリザリンなせいなのか






何にせよ、彼のその冷たい瞳に浮かんでいるのは、生まれる前から一緒の片割れに向けるものとはかけ離れた、憎しみの感情だった






『…俺、もう行く』






極力、目を合わさないようにして、彼の横をすり抜ける






「今年も、楽しくなりそうだね」






その言葉に返事をすることなく、足を進める






どのコンパートメントも空きがなく、中をのぞく度に冷たい視線を送られる






それは、自分がかの有名な悪戯仕掛け人の標的であるからだろう






列車の最後尾まで来ても、空きがなかい






しかたなく、最後のコンパートメントの扉を開ける






『…ここ、いいか?』






そう聞けば、向けられる視線






さらさらの黒髪に灰色の瞳






整った顔立ちは、よく知った人物に似ている






「どうぞ」






さっと、席に置いてあった荷物をどけてくれる彼は、黒いネクタイから新入生であることが分かる






お礼を言って中に入る






「スリザリン生なんですか?」







腰を降ろすと同時に飛んできた質問







『…2年のルーカス、よろしく』






そういって手を差し出す






「あの、ファミリーネームは?」







できればそっちで呼びたいと言われる







『悪い、ファーストネームで呼んでくれ』







「…家が嫌いなんですか?」







スッと目を細める彼に、そっと視線を足元に向けるルーカス






『そうじゃなくて…俺が家名を名乗るのを好まない人がいるんだ』






だから頼む、そう言ったルーカスに何故か儚い印象を受ける彼





「…そうですか、僕はレギュラス・ブラックです」






そう言って握り返される手







予想していた答えに、とくに驚きはしなかった






『…うん、よろしく』







「…驚かないんですね」






『君のお兄さんを知ってるしな』







そう答えれば、顔をしかめるレギュラス







『同じ寮だといいな、レギュラス』







「スリザリンに行くつもりです」







『そう、君が来てくれたら楽しくなりそうだ』






最悪な学校が、すこしでも



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