Please Love Me

親友との再会
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汽車から降りたルーカスとレギュラス





向こうでハグリッドが1年生を呼んでいるのが見える






『…じゃあレギュラス、またな』






そう言って、自分よりも頭一つ分低いところにあるレギュラスの頭に手を乗せる







その瞬間、レギュラスの瞳が開かれる







それを見て慌てて手をどかすルーカス







『あ、嫌だった?悪い』






「いえ、そんな、嫌じゃないです」






小さく否定したレギュラスに、小さく、本当に小さくふっと目元を緩める






その微笑みともいえないほどの表情の変化を見てさらに目を見開くレギュラス







その時、レギュラスの向こうに見慣れた背中を見つけた







『あ、じゃあレギュラス、待ってるからな』







―…スリザリンで






もう一度レギュラスの頭に手を乗せ、ぽんぽんと2回弾ませ、去っていくルーカス







レギュラスはしばらく、温かさの残る頭に手を当てて立ち尽くしていた



















『セブ』







見慣れた、けれども懐かしい背中に駆け寄りながら名前を呼ぶ







「…ルーク」







呼ばれた名前に思わず頬が緩む







いまとなってはもう、ルーカスをこうして親しく呼ぶのはセブルスだけになってしまった







「遅かったな」






夏休み終了間際、馬車に乗る前に合流しようと話していた2人






なかなか来ないルーカスに何かあったのかと心配していたのだ






『ごめん、可愛い後輩と話し込んでた』







行こう、とセブルスの手を握り歩き出す







「…後輩?」







『うん、きっとスリザリンだよ』






自分たちは2年生







ということは後輩とは1年生になる







しかし組み分けはまだはじまっていない







「何で分かるんだ」







『会えば分かるよ、行こう』







くいっと引かれる手にセブルスは慌てて足を動かした







自分の前を歩くルーカスを見ながら、また背が伸びたと感じる






『夏休みはどうだった?』








「…手紙をありがとう」







いきなり言われたお礼に驚くルーカス







『そんな、親友に手紙を出すのは普通だろ?』







当たり前のようにそう口にして馬車に向かうルーカスに、そっと瞳を伏せたセブルスの耳はほんのり赤い







馬車乗り場について順番待ちをする2人






そこに、燃えるように綺麗な赤髪が駆け寄って来た







「セブ、ルーカス!」







彼女はリリー・エバンズ







隣にいるセブルスの想い人、そしてかの有名なジェームズ・ポッターの想い人でもある







「リリー」







『こんにちは、エバンズ』








「こんにちは、リリーでいいって何回言えば分かるのかしら」







その言葉に聞こえないふりをする







「リリーどうしたんだ?」







「一緒に乗ろうと思って、あいつらうるさいのよ!」







怒りを顕にルーカスとセブルスに続いて乗り込むリリー







「ポッターか…」







「そう!もう何なのよあいつ!」








きぃーっ!と奇声を発しそうな勢いのリリー








あの嫌味なポッターやら、ブラックは人を見下してなどと愚痴に華を咲かすリリーと、その話を聞いているセブルス







それがしばらく経った頃、セブルスの肩にトサっと何かが乗っかる







見れば、目をつむっているルーカスの頭が








「あら?寝てるの?」








「最近寝れてないみたいだったからな」







手紙の内容を思い浮かべながら返すセブルス







「…まさか家でもなの?」







ルーカスが双子の兄であるリーマスに嫌われているのはホグワーツでは有名な話だ







「…何も言わないけどな」







そっと、コクリコクリとするルーカスの頭を移動して安定させる







「でも良かった」







ふふっと笑うリリーに目を向けるセブルス








「セブにルーカスがいて、ルーカスにセブがいて」







良かったと笑うリリーに、心の中でそうだなと返しすセブルスだった



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