Please Love Me

組み分け
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「ブラック・レギュラス!」






大広間に響くマクゴナガルの声







呼ばれた名前にざわめきが起こるが、すぐにぴしゃりとしたマクゴナガルの声に静まり返る






そして、レギュラスの頭に帽子が触れそうになった瞬間








「スリザリン!」







スリザリンの席から上がる歓声








長机の端、集団から離れてセブルスと並んで座るルーカスも控えめに拍手を送る







そこに、レギュラスがやって来る







「先輩」







『待ってたよ』







おいでと自分の隣をたたく







それに小さくお礼を言って腰を降ろすレギュラス







「なるほどな」






ルーカスの様子を見て納得するセブルス







「お前が言ってた可愛い後輩か」






『可愛いだろ?』






よしよしと自分の頭を撫で、間近にいないと分からないほどに目元を緩めるルーカスに照れ笑いを浮かべるレギュラスはセブルスにに目を移す







「初めまして、レギュラス・ブラックです」







「セブルス・スネイプだ」






『スリザリンへようこそ、レギュラス』






そう言って現れた料理の中からチキンをレギュラスの皿に取り分けるルーカス






それに続いてセブルスはミニピザを乗せた







「…ありがとうございます」







小さく微笑むレギュラスに、ルーカスはさらにチキンを渡し、セブルスに頭を叩かれた








「…先輩たちは仲がいいんですね」







食事をはじめてしばらくしてレギュラスが口を開く







横にいる2人を見て自然に出た言葉だった








『そうか?そう言われると嬉しいな、俺はセブのことを親友だと思っているから』







ミネストローネから視線を上げるルーカス







『でもな、こう見えても入学当初は会話もしなかったんだぞ』







続けられたその言葉にえ!?と驚くレギュラス







『俺とセブ、同室なんだけど、初日にケンカしたんだ』







「…あれは僕が悪かったと自覚している」







眉を寄せてぼそりと声を出すセブルスだが、ルーカスはさらに続ける







『で、それから仲が悪くなってな』







同室なのに話もしないし目も合わせなかった







そう語るルーカスの長い前髪に覆われた目元はほんのすこし緩んでいる







それと反対にセブルスの口はへの字だ







「でもそれなのにどうして仲良くなったんです?」







「…ルークが僕を助けたんだ」






「助けた?」






「あぁ、命の恩人だ」







セブルスの言葉にルーカスはやめてくれと溜息を吐く







『俺は、そんなたいそうなことはしてない』







「僕のために腕まで折ったのにか?」







その返しにぐっと言葉を詰まらせる








「腕を?」







「…お前の兄と仲のいいポッターを知っているか?」







「はい、なんとなくは」







頷くレギュラスはそっとグルフィンドールに目を向け、くしゃくしゃの黒髪とバカ笑いしているのを見てすぐに目を逸らす







「あの2人は入学当初から何かと突っかかって来ていたんだ、あれはグリフェンドールとスリザリンの合同授業の日だった」







その日は初めての飛行訓練で、箒に乗るのが初めてのセブルスは内心かなり緊張していた







そして、マダムフーチの声を合図に箒に跨った瞬間、ジェームズとシリウスが箒に錯乱呪文をかけたのだ







当然箒は暴走し、セブルスは落まいと必死に箒にしがみつくだけ







それを見て笑う生徒たち







しかしその中に、たった1人だけ、箒に跨り空へと躍り出た人物がいた







それがルーカスだった







セブルスを助けようとぎりぎりの距離を旋回しながら手を伸ばすルーカス







しかし、なかなか手を伸ばせないセブルス







そうしているうちに、セブルスの手が箒から放れてしまった






上空100メートル、落ちれば無事ではすまない







落下するセブルスを目に悲鳴を上げる女子生徒







そこに、急降下したルーカスが追いつく







なんとかセブルスのローブを掴むが、ルーカスの腕はその重さに耐えられない






そして、ルーカスはスネイプの下に体を滑り込ませ、自分が下敷きになったのだ







「打ちどころが悪ければ死んでいた」






『懐かしいな』






事も無げにそう口にした彼の頭を再び叩く







その衝撃に、さらりとカーテンのような前髪が揺れる






「そんなことが…」






あのバカ兄貴と心で毒づくレギュラス







『それでな、そのあとセブが医務室まで来てくれたんだ』







そこから仲良し、いまじゃ親友と嬉しそうに口にするルーカス







「僕も…」







『ん?』







「僕も先輩たちと仲良くなりたいです」







そう言ったレギュラスにルーカスの唯一見えている口がぽかんと開く






その間抜け面の向こうで溜息をつくセブルス






「…安心しろ、お前は十分気に入られてる」







「え?」







「こいつは信用した人間にしか笑わない」







その言葉に驚いてルーカスを見れば、いまのとこはセブとお前だなと小さく緩む目元が髪の隙間から見える







「なかなか感情を表に出さないからな」







『セブ言われたくねーな、自分だってレギュラスのこと気に入ってるくせに』







「………………」







そんな2人を見ながら、心にジワリと温かい物を感じるレギュラスだった




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