世界一初恋*
□ ◆「恋=痛み」という感情
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夜に任せて身体を重ねる度。
何故か…過去になったはずの
自分の醜さが身に染みた。
「ん…っ…ぅあ…」
朧月夜が2人を照らす中
ほとんど会話も交わさないまま
行為へと耽っていく。
あの頃と少しずつ違う感情。
それは俺を溺れさせるのには充分で。
掠れるシーツの音も。
激しく打ち付けるような律動も。
ましてや滴り落ちる
汗のひとしずくさえ。
全部が全部愛しすぎて辛い。
「きさ…さん…っ」
それなのに。
いや、それ故に…
途切れ途切れに聞こえる
雪名の声が耳に届く度に
心は無意識に後ろを向く。
名前を呼んで、
側にいて貰える程
俺は綺麗な存在ではないのだと。
初めてを雪名にあげることは
もう出来ないのだ…と。