MainーNarutoー

□ケンカのあとは2
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黒い闇に浮かび上がる金色。
俺はいつも見上げていた。

アイツの様に何者にも染まらないその姿を重ねて。


きっかけは本当に小さい言い争いから始まった。
だがそれはどんどん膨れ、遂にー

「出て行く!!」

そう言い放ち、アイツは空に飛び出して行った。

「勝手にしろ!」

俺は追い掛けるつもりもなく窓を閉めた。

残ったモノは静寂。

これで落ち着いて傀儡のメンテナンスができる。

俺は部品や道具を取り出し、いつも通り傀儡を弄り始めた。

腹が減ったら帰ってくる。
そう思ってた。


コンコンー

「入れ…」

デイダラが帰って来たのだと思ったが意外な人物が扉を開けた。

「飛段か…何か用か?」

「あっれー?ここにも居ねぇのか。デイダラちゃん知らね?」

アイツ…まだ帰って来てねーのか。

窓を見ると既に太陽は落ち、闇に包まれている。

「知らねぇな」

「ふーん。もうすぐ飯なのに珍しいな。」

「用が終わったんなら早く出てけ」

「ちぇっ、相変わらず冷てぇの!あ、もしかして…デイダラちゃんとケンカでもしたんじゃ?」

飛段のニヤついた顔が勘に障る。

「出て行けって言ったのが聞こえなかったのか?殺すぞ」

「だからー!それを俺に言うか?ってそのマジな目恐いから!分かった、出てくから…傀儡はしまえ!」

俺は無意識に三代目を出していた事に気付く。

「ホント冗談通じねーんだから。」

いくら死ねない体と言っても、サソリの恐ろしさは嫌と言う程知っている。
サソリが本気でキレるとシャレにならない。

「じゃ、デイダラちゃん来たらもう飯食ってるって言っといてくれよなぁ!」

そそくさと部屋から出て行く飛段。

俺は三代目をしまうと窓から空を眺めた。
月が雲の間から出掛けている。

今日は満月になりそうだ。

アイツ、腹空かしてんじゃねぇのか?

ーもう戻らねぇ!

すぐに帰って来ると思っていた。
だが、本当に戻らないつもりかもしれない。
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