MainーNarutoー

□自殺志願者
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いつまでも一緒。

永遠に側に居ようー

そう誓った。

でも永遠なんてないー

気付かされたのはあの人が居なくなってからだった。



感情表現が豊かだったデイダラが笑わなくなった。

原因は分かっている。

愛しい人、サソリが死んでからだ。

全くと言っていい程に変わってしまった。

まるでサソリが前のデイダラを一緒に連れて逝ったかの様に。

デイダラに在るのは虚無感。

何をしているにも心此処に在らず。

心配してるメンバーの声さえ届かない。

宙を見つめ、何を考えているのやら。
否、考えているのはサソリの事だけか。

還らない者に何故そんなに固執できるのか気が知れない。
ボクはそう思う。

「なぁ角都ぅー…」

「何だ?」

らしくない飛段の暗い声に珍しく返事をする角都。

「デイダラちゃん…いつまであのままなのかな…?」

リビングに居たメンバーが俯き、空気が重くなる。

「さっき、部屋の扉が開いてたから少しだけ覗いたんだ…そしたら…」

飛段が泣きそうなのを堪えて話す。

「あんなに粘土好きだったのに…ずっと空ばから眺めて…」

遂に泣き出してしまった飛段の頭を角都は優しく撫でた。

「いずれ時間が解決してくれる。それまで待っていろ」

すごい他人事を言ってるな、と思ったけど角都なりの慰めなのだろう。

「…うん。角都は死ぬなよ…」

「オレは死なん。それにお前はオレが殺す。そうだろ?」

「おう!!」

ゲハハハハと笑う飛段にリビングの空気も少しだけ軽くなる。

それからは他愛もない会話が飛び交った。

ボクはソッとリビングから出た。

もうすぐ日が暮れる。
紅い夕日が落ちて行く。

ふと、角都の言葉を思い出す。

『時間が解決する』

果たして本当だろうか?

時が心の傷を癒してくれるとでも?
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