MainーNarutoー

□アイタクテ
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旦那はいつもオイラの先を行く。
オイラはその背中を必死に追い掛けてた。

強くてカッコ良くて、旦那の造り出す芸術も素晴らしくて。
旦那の後ろをついて回るオイラをシカトしててもちょっと待っててくれる。
そんな旦那が憧れであり、大好きだった。

永遠が口癖だったから、オイラより先には死なないって思ってた。
オイラが死ぬまで、オイラの隣には旦那が居るって勝手に安心してたんだ。

でも、旦那はオイラより先に逝ってしまった。

オイラは悲しかった。

旦那の側に居たい。
旦那の隣に居たい。

後を追うように芸術となってオイラも死んだ。



どのくらい時間が経ったのか分からない。
オイラは死んだハズなのに、地に足をつけ歩いていた。
何よりも、死んだハズの旦那が隣に居る事に驚いた。

嘘!?何で!?

カブトから事情を聞いて納得した。
死者を蘇らせる術だそうだ。
これから起こる戦争に参加しなければならないらしいけど、オイラにはそんな事どうでも良かった。

また旦那に会えた!
また旦那の隣に居れるんだ!

そう考えたら嬉しかった。

「今度はオイラが旦那を守る!うん!!」

旦那は優しく微笑んでくれた。

「俺はもういい。またお前に会えたから…」

旦那はそれから何も言わず、頭を撫でてくれただけだった。

戦闘が始まって、オイラ達は本物の人形になったサソリと戦い、捕まってしまった。

クソッ!旦那を守るって約束したのに!

「旦那!今助けるから!!」

「デイダラ、もう俺を追いかけるのはやめろ」

「だ、旦那?」

サソリはカンクロウの言葉に耳を傾けていた。

「旦那!聞いちゃダメだッ!」

でもデイダラの声をサソリは聞こうとしなかった。

「旦那!!」

「デイダラお前には…」

「旦那?旦那!?サソリの旦那ぁぁぁ…!!!」

サソリは完全に消えて無くなり、別な死体が其処に在るだけだった。

何で?何で?
何で先に行くの?

オイラを置いてかないで。
一緒に連れてって。

『お前には…生きていてほしい』

旦那の最後の言葉。

「ハハ…旦那、オイラの性格分かってんだろ?負けず嫌いでオマケにワガママだって。一緒じゃなきゃ嫌なんだ。」

一緒じゃなきゃ生きてる意味なんてない。
生きてたって旦那が居なきゃどうしようもないんだ。



オイラの記憶は此処までしかない。

戦争がどうなったとか、オイラがどうなったのか。
分からないし、どうでも良かった。


ただ、旦那に会いたい。
会いたい。会いたい。


オイラにはそれだけしかない。
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