MainーNarutoー

□恋
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オイラは恋をしました。

心もない、血も通っていない人形に。

恋に堕ちました。

「で?デイダラちゃんはどーしたいの?」

飛段の問いにオイラはすぐに答えを出した。

「どーもしない。うん」

「…じゃあこのままで居るってわけ?」

それがどうした?と言う視線を向けると飛段が溜め息を吐いた。

飛段とオイラはアジトの近くを散歩に出掛けていた。
日向ぼっこでもしようと腰を降ろした所で、相方のサソリに恋愛感情を抱いている事をカミングアウトした。

飛段は気持ち悪がらず素直に受け止めてくれた。

「ってか、このままで本当にいいのかぁ?辛くない?」

また飛段が質問してきたけど、オイラもどうしていいのか分からない。

それに、どうして好きになったのかも分からない。

いつもクソ餓鬼と馬鹿にされ、煩い、近寄んなと罵られてきた。
旦那は芸術家としては尊敬できる。
でも人としてはダメな部分が多すぎる。
人じゃないけど。

そもそも、オイラっていつから旦那の事を好きになったんだ?
自覚したのは最近だけど。

任務でケガしたオイラに手当てしてくれたからかな?
それとも、その前の任務で誉めてくれた時かな?
普段はキツいけど時々優しい所とか。
人形になっても少し人間くさい所とか…?

あれこれ唸っていたら飛段が呆れ顔で口を開いた。

「好きになるのに理由って必要なの?好きなんだから仕方ねぇじゃん。」

如何にも飛段らしい意見。
まるで悩んでいるほうが馬鹿らしいとでも言うかのような。

「何で好きになったとか、いつ好きになったとかじゃなくて、これからどうするのかが重要だろ?」

「でも、旦那は人を棄てた。感情も。そんな旦那に恋愛感情なんてもの何の価値もねぇ…」

恋愛感情なんて旦那にとって最も無駄なモノに違いない。
オイラは今、報われない恋をしているんだ。

「なぁんか…デイダラちゃんの話し聞いてるとサソリばっかだな!」

「は?今旦那の話ししてるだろ。うん」

「違うって!サソリの事ばっか気にして自分の気持ちは後回しって感じ。」

確かに。
でも恋愛ってそういうものじゃないのか?

「自分の気持ちも出さねーといつか心が壊れるぜ?」

つまり、あんま悩むなと言いたいのか?

やっぱり飛段に相談したのが間違いだった。
逆に益々悩みが増えた気がする。

そんなデイダラを余所に飛段は能天気だった。

「俺はお前が好きだーって言っちまえばいいんだよ!俺ならそーするね!」

「はぁ?…ぷっ、あははは!!」

相談したのは失敗だったが、話した事は成功だった。
お陰でスッキリした気分になれた。

「飛段、ありがとな。うん」

お礼を言うと、いつでも話し聞いてやるよ!と笑って答えた。
オイラもつられて笑った。

でも、この想いはずっと旦那に隠して行くんだろうな…。
結構ツライかも。
いや、かなりツライけど…でも…。

デイダラは仕方ないという気持ちで感情を抑え付けた。
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