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□キスの味
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塾が終わってただ帰るだけじゃつまらないと、ここ最近理事長室に通う者が居る。

「なぁなぁ!初キスってどんな味なんだ?」

「どんなと言われましても」

「志摩がさぁー甘酸っぱい味や!って」

「そうですか」

今日あった出来事なのか友人達との楽しげな会話を話してくる燐。
尻尾をふりふり。
ソファーに寝転がりながら。

まるで誘ってるかのようですね…。

メフィストは燐とクラスメイトとの会話に興味はなく、燐自身に興味が湧いていた。

「って!聞いてんのかよ!?」

「何がですか?」

「だから!ファーストキスの話し!」

「あぁ、そうでしたね」

まだその話題だったのか。
大体ファーストキスなど、いつ何処で誰としたかも覚えていない。
思い出すのも疲れるのでしない。

「俺…まだだからさぁー。どんななのかなぁ?ほんとにレモンみたいな味すんのか?」

なんと!!
男子高校生が中学生のような…否、今時の小学生でもそんな期待はしないと分かる。
余程、女子と関わりがなかったのか少し哀れに感じた。

その時、メフィストはある考えが浮かび席を立った。

そして寝転がっている燐を見下ろし笑った。

「そんなに気になるのなら試してみましょう」

「は?んんッ!?」

有無を言わせぬ速さで燐の唇を自身の唇で塞いだ。

「んッ…は…」

普通の触れるキスではなく少し舌を交えたキスに燐は狼狽えた。

唇が離れた時、燐の顔は真っ赤に染まり、その姿にメフィストはそそられた。

「初めてはどんな味でしたか?」

燐は手の甲で少し垂れた涎を拭いながらメフィストを睨み付けた。

「…甘い…イチゴの味…」

「正解☆」

メフィストは口端を上げて笑うと指をパチンと鳴らした。
同時に燐の真上からパラパラと透明な袋に入った、色とりどりの飴が降ってきた。

「ちなみに、私が食べているのは苺ミルク味です」

器用に舌に乗せた飴を燐に見せ付ける。
耳まで赤くなる燐を見てメフィストは益々面白くなった。

「俺の初めてを返せ!しかも舌まで入れてきやがって!」

「知りたがってたのは貴方ですよ?」

「だからって!しかも何でイチゴ?!」

「おや?苺ミルクでは不満でしたか。では…お望み通り、レモン味にしますか?」

メフィストは黄色い飴を掴み、燐に差し出した。

「……イチゴ味でいい」

「素直な貴方も可愛いですね」

これからの甘い関係には甘いキスで。
2人は苺ミルクの飴を一緒に味わいました。
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