MainーNarutoー

□自殺志願者
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時が経つのを待てる人間は辛い事があっても、生きて行こうとする心の強いヤツができる訳で。

デイダラの心は?

顔には出さないが、案外脆かったりするんじゃないのか?
サソリ以外の前で甘えたり、泣いたりする所は絶対に見せない。

だから皆、その内サソリの死を乗り越えてくれる。
そう思ってた。

心が弱いヤツは、どうなる?



ボクはデイダラ先輩の部屋をノックした。
返事がない。

「せんぱーい、入りますよ〜」

扉を開けると誰も居なかった。
窓が開いていて風にカーテンが揺れている。

嫌な予感がする。

デイダラが行きそうな場所…多分だけど、彼処だろう。

トビは急いでアジトを出た。



其処ら中に飛び散る瓦礫の中に佇む金髪の青年。

ぼーっと見つめている先は愛しい人が死んだ場所。

亡骸はとっくに葬られたので何も残されてはいない。
だが、愛しい人が其処に居るかの様な瞳で眺めている。

佇んでいるだけだったデイダラがポーチから粘土を出すと、胸の部分だけ肌を曝す。
そして、胸の禁術を解いてゆく。

ガシッー

危なかった。
解かれる前にデイダラの手を掴んだ。

「トビ、手ぇ離せ」

虚ろな瞳でトビを見上げる。

「イヤですよ。手、離したら爆死しちゃうつもりでしょ?」

「いいんだよ…オイラはもう…」

「先輩らしくないですね。いつもなら威勢があって…」

「オイラの何が分かる?!知ってるような言い方してんじゃねぇよ!!オイラの事を分かってくれんのは旦那だけだッ!!!」

デイダラが敵意剥き出しでトビを睨む。
だが、トビも暁メンバーに選ばれた犯罪者。
睨まれただけでは怯まない。
息を吐くとデイダラを見つめた。
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