MainーNarutoー

□恋
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飛段と笑い合っていると後ろからオイラの名前が聞こえた。
振り向いて見ると今まで話題になっていたサソリが呼んでいた。

「だ、旦那…何か用かい?うん」

「リーダーが呼んでる。」

「もしかして、会議室の端っこ爆破したのバレたんじゃねぇ?ゲハッ!」

「アレは飛段も共犯だろ!何でオイラばっかり…」

「待たせるとまた怒られるぜ?」

旦那に促されオイラはその場を後にした。

リーダーの部屋に行くと案の定、爆破の件でお説教をくらった。
解放されたのは月が昇った頃だった。

「ったく、話し長ぇーんだよ…うん」

飯食い損ねるし…最悪だ。
もう部屋戻って寝よ。

薄暗い廊下を進むと、暗がりの中で見知った人物と出会った。

「…旦那…?」

「デイダラ、来い。」

旦那の有無を言わさぬ物言いに大人しく従う。

「旦那どうしたんだ?うん」

連れて来られたのは旦那の部屋。
あちこちに傀儡があるが綺麗に整頓されている。
旦那の部屋を覗いたことはあったが入るのは初めてだった。
旦那の匂いにドキドキする。
だけど同時に、何を言われるのか不安で仕方ない。

「…今日、飛段と何話してた?」

長い沈黙の後に旦那が聞いてきたのは飛段との会話だった。

「別に何でもない、うん。どうして?大した話しなんて…」

「俺には言えねぇ内容か?」

「違うって!そんなんじゃなくて…」

何で旦那がこんなに気になってるいるのか訳が解らない。

あれ…オイラと飛段って旦那の他に何しゃべってたっけ?

「じゃあ俺にも話せるよな?」

「言いたくない」

デイダラはキッパリと言い切った。

適当に言えば良かったのだが、急な事に思い浮かばなかった。
でも、旦那のこと話してました。とは言えない。

旦那の瞳が、いつも人を殺す時のように冷たくなった。

正直、震えが来るくらい恐い。
でも、言いたくないんだ。

くだらねぇって、そう言い放つに決まってる。

「デイダラ…何で俺には言えねぇ?」

サソリの旦那が一歩一歩近付いてくる。

「く…くだらない話しだから」

「そうか?飛段はそうは言ってなかったぜ。」

あの馬鹿ッ!!

心の中で悪態を吐いてももう遅い。

「デイダラ?」

旦那の瞳がさっきと違って切なそうに揺れているのを感じた。

そんな悲しい顔、卑怯だ。

「…っ!」

旦那の手がオイラの頬に触れる。
全て吐き出してしまいたい。
そうしたら楽になれるかな…?

そう思った瞬間、口が自然と動いていた。
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