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□祝☆初のお宅訪問
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お風呂も済み、夜も更けてきた。
こらから…と思う気持ちを理性で抑え、ゲームを楽しむ燐に声を掛ける。
「そろっと寝る時間ですよ。あまり起こしていては奥村先生に怒られてしまいます」
「あー…うん」
「どうかしましたか?」
先程と打って変わって声に元気がない。
「いや、なんでもねぇ」
燐はゲームを止め、立ち上がった。
「じゃあ奥村くんのお部屋へ案内しますね。」
メフィストは燐を背にし歩き出そうとした。
しかし、浴衣の裾を引っ張られ歩みを止められてしまった。
「なんですか?奥村くん。」
燐は俯いて黙ったままだった。
メフィストは燐の頬に手を当てた。
「どうしたんですか?何か気に入らない事でも…?!」
突然、燐に抱き付かれよろけそうになり足に力を入れた。
シャンプーの匂いがフワッと香り、ドキッとする。
「奥村…くん?」
「なぁ……別々で寝んのか…?俺って、そんなに魅力ねーか…な」
震えた声で話す燐の表情は浴衣に埋めていて分からない。
でも、少し尖る耳が赤く色付いているのが見えた。
「そんな事ないですよ。十分に魅力的です。」
「でもっ!お前…全然触ってこねーし…その…俺しか考えてねーのかなって。さっきも避けられた感じだったし…」
やはり露骨過ぎたか、と後悔する。
しかし、そんな後悔より燐も同じ想いだった事に胸を打たれる。
「すみません。でも違うんですよ、あれは抑えが利きそうにないと思って…」
誤解だという事を何とか伝えようとした。
「俺…別にゲームがしたくて来た訳じゃねーんだ」
「奥村くん?」
「3ヶ月も経ってまだそーいう事してないって有り得ないって…対象に見てないって、言われて…不安で…」
燐の腕に力が入るのを感じた。
「対象に見てない訳ないでしょう。どれだけ悩んだと思ってるんですか。私も触れたくてどうしようもない位でした。」
メフィスト燐を包み込むように抱き締めた。
「ですが、不安にさせてしまいすみません。どうしても貴方を傷つけたくなくて…」
「いい…お前なら、許す」
「奥村くん」
耳元で囁くと燐は赤い顔をようやく上げてくれた。
少し潤んでいる瞳が閉じていく。
「んっ…」
いつもとは違う、深い口付けを交わした。