彼の背中を越す日まで

□【一幕】あの人に出会うまで
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12歳だった

まだ12年間しか生きてなかった
そして、その12年間で
もう"残酷"を理解した。










「おい、あいつが来たぞ!みんな逃げようぜーっ」

「うわあ、きしょくわるー!」



ギャハハハハッなんて下品な笑い方しながら、数人の男の子が走って私から遠ざかる



「ぁ...あの子は...」

「他里の子でしょう、数年前に木の葉に引っ越してきたらしいわよ」

「聞く話では、あの呪われた血筋の子なんですって」

「えぇ、迂闊に近づいたら何されるか分からないわね」

「子供達にも近づかないように言っておきましょう」



その場に居た、母親と思われる大人達のひそひそ声が聞こえた

はっきり言ってくればいいのに

そう、私の一家は、体内を駆け巡る血のせいで先祖代々呪われた血として恐れられ、忌み嫌われてきた
なんでも、相手の瞳を見ただけで、その人を殺せるそうだ
といっても、そういった能力はここ数十年、私達の中では見られていない
その能力は、私達の血を受け継ぎ、尚且つ特異体質の持ち主でないと開花できないのだという
けれど、元々木の葉の住民でない私達のことなど、他里の人が知るよしもない


こう忌み嫌うのは、やはり当然だろう。
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