足掻け、
□何気ない出会い
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「姉さん、ねえ。早く起きないと遅刻だよ。」
遠く聞こえる愛しい弟の声。
まったく無愛想なんだから!
そんなところも可愛くて仕方ない。
そう思う私は異常なんだろうか?
「当然でしょ。…てゆーか、今何時か分かってるの?」
うるさいなあ。
どうせ7時半ぐらいでしょ…
「残念、7時50分」
「……馬鹿あああああ!!」
ごつっ
飛び起きた私に跨ってたらしい恭弥と頭同士がキス…ごめん嘘。だから睨まないで。私の例えがヘタだったね、うん。つまりは私が頭突きをくらわせてしまった。
「悠梨……今日という今日は」
『ごめん分かった、分かったから落ち着いて!ちょ、トンファー出すな。早くしまって靴下とって!』
ちょっと機嫌悪いけど、ちゃんと靴下をとってくれる恭弥は何ですか?天使にしか見えません。
トンファー出さなければ、ね。
「じゃ、僕は仕事あるから行くよ。今日は大目に見るけど、次遅刻したら風紀委員入ってもらうから。あ、あと鍵ちゃんと閉めなよ」
『オカンか!!…はいはい、行ってらっしゃい』
「……行ってきます」
頬がピンクだったのは、気のせいじゃないはず。
……も、萌え…!
じゃ な く て 。
「やばい遅刻じゃん!」
着替えながら時計を見てみると、制限時間はあと7分。
風紀委員からのお仕置きは無いし、別に先生に叱られるわけでも無いから、急ぐ必要はあまりないけど…。
まあ、それはいいとして
「ぎゃああああ恭弥が弁当作ってくれてるううう!!」
うれし…すぎ…。
たらっ
「!?……鼻血、だと…」
急いで鼻にティッシュを詰めて、私は家を飛び出した。