短い話
□memory
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任務を終えて、いつも通り家に帰って、夜を迎える。
人一人寝るには大きすぎるベッドに寝転がると、すぐに睡魔が襲ってくる。
見る夢は昔のコトで隣にいないアイツがいつも出てくる。
「布団買おうかな」
「どうしてだ?」
食器を片付けながら、後ろで本を読んでいるサスケに話しかける。
「だって、二人で寝るには狭いかなぁって」
それに、風邪ひいたら困るし…なんていうと必要ないと言ってくる。
「でもさぁ」
「だったら、布団は買うな」
「えっ?」
「ベッドにしろ」
「なんでぇ?布団だったら、あと一組買えば一つずつで丁度いいじゃん」
「干すのがメンドクサイとか言って、結局俺が干すハメになるだろ」
「……」
その通りなので、反論も出来ない。
「それに……」
そこまで言うと、耳元に顔を近づけて……
「お前の隣で寝たい」
と囁いてくる。
「……///。そうしよっかなっ」
「そうしろ」
そっと抱き寄せてキスをしてくれた。
「……サスケ」
目覚めると、一人大きなベッドで寝ている。そして、現実に引き戻される。
愛しい恋人はもうそこにはいないということを……
アイツと過した日々を振り返るように見る夢が苦痛で、起きていたいのに、眠ってしまう。アイツの物を捨てたいのに、捨てることもできない。俺を縛るだけ縛っていなくなってしまった。
『帰ってくる』と言ったけれど、本当なのかも分からない。帰ってきても、隣にいてくれるかどうかもわからない。
今はただ、アイツの帰りを祈るだけ。
-End-