短い話

□これが日課
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「こらっ、起きろってば。バカサスケ!!!」
 朝起きていつも通り服を着替えていたナルト、隣にあるベッドの上で、いまだ寝ているサスケを無理やり起こした。
「…ったく、何だよ。朝っぱらから」
 低血圧のサスケは朝に弱く、寝起きも最悪だ。
「…痕付けんなって何度言えばわかるんだってば」
 明らかに不機嫌なサスケの声にビビりながらも、自分の服を捲り上げてその部分を指差す。ナルトの肌は、サスケの付けたキスマークで埋めつくされていた。
「しょうがないだろ。そうでもしねぇと、自分が誰の“モノ”かもわかんねぇんだから」
「俺ってば、“物”じゃねぇ」
「(ハァ〜)はいはい」
(ったく、なんでわかんねぇんだ、コイツは。ただの物なんかに俺が興味を持つわけ無いのに)
「なんだってば、その“どうでもいい”みたいな言い方は!!」
 プーっと頬を膨らませてナルトが怒ってくる。
(可愛い…。まぁ、その違いをコイツに分かれってのが無理か)
 そう思うことで納得したサスケは、ナルトを自分のいるベッドの上に引き上げて抱きしめる。
「はっ離せってば」
「いやだ」

 サスケとナルトが付き合うようになって半年近くが経ったが、毎朝2人の朝はこんな会話から始まる。

「これじゃ任務にいけないってば」
 サスケの腕の中でジタバタ暴れていたナルトは抵抗を止めて、サスケの胸に頭を預ける。
「知るかそんなこと」
「知るかじゃなくて…。もう、ワガママ言うサスケは嫌いだってば」
 アカデミーではクールだと言われ、女の子に人気があるサスケもたまにこんなワガママを言う。
「本当は嫌いになれないくせに」
「なっ…。だっだけど、本当に嫌いになったらどうするんだってば?」
「なれるわけがない」
「なんで、そんなに自身満々なん…んっ…さっサスケ…ちょ…んっ…あっ」
「…ほら。こんなキスぐらいで涙目になりやがって…。好きでもない奴にされて、こんな風になるわけがないだろ」
 ニヤニヤと笑いながら、ナルトを抱きしめる。
「…バカ///」
「なんだ?」
「なんでもないってば。とにかく家でも一緒なんだから、少しぐらい我慢しろ」
「ずっと一緒にいたい」
「…///」
 耳元で呟かれた言葉にナルトは顔を真っ赤にする。
 見つめ合って口が重なるという時に、盛大に玄関の扉が開いた。

「はい、そこの二人。イチャイチャしてないで、さっさと任務に行くわよ」

 勢いよく入ってきたサクラに、サスケの腕の中で一瞬固まるナルト。しかし、次の瞬間には慌てたようにサスケを押し退けてサクラの前に立つ。
「…さっサクラちゃん!!いっいつからそこに?」
「“ずっと一緒にいたい”ってところだったかしら」
 ナルトとサクラが話ている間にサスケは素早く着替える。
「うわぁ〜。早く言ってってば」
「ほら行くわよ」
 そう言ってサクラはナルトの腕をグイグイ引っ張っていく。もちろんそれを黙ってみているだけのサスケではない。ナルトの腕を掴むと自分の方へ引き寄せる。
「ちょ、サスケ」
 ナルトは、サクラに見られたのが恥ずかしくて真っ赤な顔をしている。そんなナルトを横目で見ながら、可愛いと思ってしまう自分に苦笑しつつも、毎朝同じように出掛けていく。

これが彼らの日課


-End- 

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