短い話

□photograph
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side:N



「むきぃー。なんで、そんな顔するんだってばよっ!!」

「そんな顔って、俺はもとからこの顔だ」

「そうじゃなくって、写真撮るときぐらい笑えってばよ」

「俺が笑ってたら怖いだろ」

「……確かにっ」

「だったら……」

「でも、写真撮るならやっぱっ笑顔がいいってば」

「……お前は知ってるだろ。ナルト」






カタンと小さな音をたてて、風で写真立てが倒れてしまった。
それには一枚の写真が入ってる。

いま思えば、自分はアイツの変化に気付いていたのかもしれない。


ふと思い付いて、引き出しから引っ張りだしたカメラを持って、練習場に向かったあの日。





「せっかく撮ったのに、結局いつもの顔だしっ」

笑顔は撮れなかった。けど、撮るまでの過程を覚えてる。
『ナルト』って言ってくれたその声も。
その後見せてくれた笑顔も。

全部思い出で、いま実際に見ることはできない。ただの思い出。
されど思い出。

大切な思い出。



「サスケ」


呟いても、思い出すばかりで、会えるわけではないけれど。

願はくば、瞼の裏で思い出すサスケ[アイツ]はずっと笑顔のままで。



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